巧妙!「蚊に効くカトリス」のCMに隠された罠!《それゆけ!カナモリさん》
■思わず「うん?」と考え込むカトリスのCM
「蚊取り線香」に始まり、「殺虫剤キンチョール」、化学ぞうきん「サッサ」、使い捨てカイロ「どんと」などの数々の商品を世に送り出してきたのは「大日本除虫菊株式会社」。その名前が意外と知られていないのは、「金鳥(KINCHO)」のブランド名があまりに有名だからだろう。そして、その知名度はCMの効果によるところが大きい1986年「タンスにゴン、亭主元気で留守がいい」、91年「ムシムシコロコロキンチョール」、92年「30日、30日イッポンポン、キンチョウリキッドイッポンポン…」。いくつもの大ヒットCMを世に送り出してきた。そして、今、ネット上でも大きな話題となっているのが「蚊に効くカトリス」のCMである。
<蚊に効くカトリス「実験」篇>(CM動画:同社ホームページより)
「こんなことでCMになるのかの実験」と半ば自虐的な唄で、クスッとでも笑っていただけたら、こちらの狙い通りですとホームページでCM制作のエピソードを伝えているが、ズバリ狙い通りTwitterでは「カトリス」のキーワードでいくつものツイートがヒットする。gooのBlog検索やkizashi.comの検索でも多数のBlogが話題として取り上げていることがわかる。口コミ効果バッチリ。
インパクトのある歌声と歌詞が話題になりがちだが、それが思い出される時、同時にCMの映像も脳裏に浮かばないだろうか。「ドライアイスをかけてみました」というテロップに続き、煙がきれいに周囲に拡散していく、あの映像だ。ホームページでは、効きめが広がっていく様子をどうやったら視覚的に伝えられるか・・いろいろ試行錯誤した中で、ドライアイスをかけるのが最もわかりやすかったので、これを採用しました。カトリス、煙もニオイもないけれど、ちゃんと効いていることがわかっていただけたでしょうかと伝えている。まさに、それがこのCMで伝えたかったことなのだ。
除虫剤の歴史をひもといてみれば、1890年(明治23年)に世界初の棒状蚊取り線香「棒状蚊取り線香」が発売された。その後、改良が加えられ、1902年に渦巻型蚊取り線香が発売された。1910年に「金鳥」の商標が登録され、以後、「金鳥蚊取り線香」が除虫剤の代名詞となり、第2次世界大戦前には世界約80カ国に輸出されるヒット商品だった。
長きにわたる王座の地位に挑戦者が現れたのが、1963年のこと。噴霧式殺虫剤トップシェアのフマキラーが、世界初の電気蚊取り器「ベープ」を世に送り出したのだ。化合物をマットにしみこませ電気で加温することで、蚊取り線香より高い効果と長い燃焼時間を実現した。しかし、それは当初全く売れなかった。「ベープマット」は安全性と、燃焼時間、煙が出ないという点において、蚊取り線香に対して明らかな優位性があったにもかかわらずだ。ここに今回のCMを読み解くヒントがある。
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