世界初!機内生ビール1000円は、安いか高いか?《それゆけ!カナモリさん》
しかし、「ビール」という対象物(ウォンツ)を手に入れたいというニーズの根源を考えるなら、空の上、飛行機の中という非日常的な空間で、さらに気分のいい時間を過ごしたいということになるだろう。そんなときに、この夏、世界初となる航空機内での樽生ビール独特のクリーミーな泡とキーンと冷えたビールの味わいをANA国内線の空の旅でお楽しみください(同社ニュースリリース)などと誘われたら、つい「一杯ください!」といってしまうだろう。
もし、自分が普通の500円の缶ビールで我慢したとして、隣の乗客が生を注文し、うまそうに飲んだら…と考えればなおさらだ。それに何しろ1便20杯(一部大型便では40杯)限定なのだ。躊躇していては売り切れる。
つまり、「需要志向の価格設定」には、顧客がその商品にどれくらい価値を感じてくれるのかという「カスタマーバリュー」を想定することが欠かせないのである。
他に手に入れる手段がない飛行機の中という空間で、缶ビールは500円。それより、スペシャルな生ビール20杯限定が倍の1000円。それが安いか、高いかは顧客の価値観に依存する。筆者は自らの価値観からすると、この1000円の生ビールは大人気になると予想している。
ただ、Yahoo!ニュース意識調査では、「高い」が73%、「妥当」が26%となっている。筆者の感覚がおかしいのか…。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
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