あなたを太らせる「塩、砂糖、脂肪」のワナ 味蕾の地雷、『フードトラップ』を読む

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左から7オンス、12オンス、16オンス、32オンス、64オンスのドリンク。2012年、ニューヨーク市では32オンス以上の飲料が規制されている。もちろん肥満対策の一環だ(写真:ロイター/アフロ )

このような消費者の糖分、塩分、脂肪分への渇望を食品会社は熟知している。各社は膨大な予算と大量の科学者を抱え、科学的に人々を依存へと導く商品の開発にまい進しているのだ。例えば、社内で「ビリオネア・ブランド」と呼ばれる29種類のブランド商品を持つネスレはローザンヌ、東京、北京、サンティアゴ、ミズーリ州セントルイスなどの施設に化学者350人を含む700人のスタッフを抱えている。彼らは毎年70件以上の臨床実験を行い、200本の学術論文を発表し、80件もの特許を出願している。

ネスレは悪の帝国?

ネスレのビリオネア・ブランドのひとつ「ホット・ポケット」と呼ばれる冷凍食品は重さ約230グラムの中に飽和脂肪酸10グラム、ナトリウム1500ミリグラムが入っている。これ一つで成人男性が健康的に暮らすために推奨されている一日分の摂取量の上限近くだ。先ほども書いたが、糖、脂質、塩分は麻薬と非常に似た働きを脳内で示す。これらの成分が大量に含まれた商品は食べても、食べても、また食べたくなるという特徴がある。

食べ過ぎを誘う大量の依存物質が入った商品を販売するネスレは、一方で過食に苦しむ人々向けの医療栄養食品を扱う企業を2007年に買収し、その分野にも進出しているという。人々に過食を促し、太らす商品を販売する一方で、太り過ぎの人々を治療する食品も販売している。

このような話を聞くと、ネスレが悪の帝国のように思えてくる。だが、ネスレは摂取し過ぎると健康を害する原材料の使用量を抑えるために様々な努力をしているのだ。しかし、塩、砂糖、脂肪を減らした商品は目に見えて売り上げが落ちる。たとえ、ネスレが一社が努力しても、売り上げが落ちればスーパーの陳列棚を競合他社が占領していくだけである。企業としてそれは看過できる事態ではない。

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