なぜ今、日本に増える「ボーディングスクール」 黒船来航で日本の教育はどう変わっていくのか

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2022年9月にはイギリスの名門パブリックスクールであるハロウ校が、同じく、22年前後にはイギリス最高峰の名門校ラグビー・スクールが日本に開校することを決定している。インターナショナルスクールが次々と日本に進出することで、日本の教育産業はどのように変化していくのか。グローバル化する社会で、子どもたちはどのような力を育むべきなのか。国際教育評論家であり、インターナショナルスクールタイムズの編集長である村田学さんに話を聞いた。

アメリカは円、日本は縦一列で学ぶ

駐在員であった父のもと、アメリカで生まれ育った村田学さん。日本の幼稚園に一歩足を踏み入れたとき、非常にショックを受けたことを今でもはっきり覚えているという。

「年長クラスの夏休み明けに帰国したのですが、初めて日本の幼稚園に入り、子どもたちが縦に並んで座っているのを見て非常にショックを受けたことを覚えています。アメリカでは学びの基本は円でした。みんなで円を描いて地べたに座り、先生もその円の中に入る。円の中に入り、上下なく同じ目線で発言を皆でシェアする。ディスカッションが双方向に生まれるんです。ところが日本は縦の文化。一方的なスピーカーである先生の話を聞くために、生徒たちは縦に並んで座る。文化の違いに戸惑い、縦にはめられる恐怖感を感じました」

日本の教育では、先生の話をどれくらい理解して消化できたかという知識のデータインプットと、その復元率が成績につながる、と言う村田さん。もともと、きちんと並んで何かをするということが得意でないタイプだったこともあり、日本の学校生活では、どこか居心地の悪さを感じていた。その違和感が、今のインターナショナルスクールに関わる仕事へとつながっていく。

自身の海外での学習体験と、国際教育専門家としての視点が交錯する
(撮影:今井康一)

なぜ今、日本でボーディングスクールが増えているのか

現在、新たな教育機関として注目を集めているのが、インターナショナルスクールの中でも、全寮制を採用しているボーディングスクールだ。ボーディングスクールの歴史は古く、イギリスでは1440年、有名なボーディングスクールの1つ、イートンカレッジが創設された。その後米国や、スイスなど世界各地に次々と名門ボーディングスクールが開校している。

日本では、1960年に函館ラ・サール中学・高等学校が、63年に札幌聖心女子学院中学・高等学校が開校。ここ数年では2019年、広島県立広島叡智学園が開校したのを皮切りに、20年4月には日本初の小学生を対象としたボーディングスクールである神石インターナショナルスクールが広島県に開校した。続いて、愛知県に国際高等学校、岩手県にハロウインターナショナルスクール、長野県に白馬インターナショナルスクール、ラグビー・スクールと、2023年までに次々と開校を控えている。また同じく寮制を採り、国内、海外をプロジェクトベースで旅して学ぶインフィニティ国際学院高等部は、初等部・中等部を開校予定だ。

国際高等学校のイメージパース
(写真:村田氏提供)

これまで日本ではあまりなじみのなかったボーディングスクールが増えている背景について、村田さんはこう語る。

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