米国市場になだれ込む、鉄鋼各社の台所事情 拠点を持たないJFEはどう動く?

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会社側は、他社との提携なども含め、2016年度までに事業規模を4000万トンへ上積みする方針を掲げている。セベルスタリ米国工場の買収が実現すれば、この目標に近づける。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の黒坂慶樹アナリストは「方針としては悪くない」と評価する。

「地理的にベストではない」

ただ、買収に向けて課題がないわけではない。「北米は年金や医療費など、負の遺産が重い。今、製鉄所を買収するという戦略は描きづらい」(別の高炉メーカー首脳)。

「地理的にはベストといえない」(黒坂アナリスト)という指摘もある。2工場のうち、ミシガン州の拠点は米GMやフォードなどビッグスリーの工場が集積する地域にある。トヨタ自動車や日産自動車などの日系メーカーは中西部から南部に集まっており、新日鉄住金や神戸製鋼が新たに拠点を構えたのも南部だ。

一方、ミシシッピ州の工場は南部に位置しているが、不純物の多い鉄スクラップを原料に鋼材を生産するため、高品質が求められる自動車用鋼板の製造には向かない。

JFEは以前から大型買収に備え、財務体質を改善させてきた。それでも、セベルスタリの北米事業は総額20億ドルを超える負債を抱えている。「お手並み拝見といったところ」(競合の鉄鋼メーカー首脳)。JFEはどう出るか。決断の時が迫っている。

「週刊東洋経済」2014年6月21日号<6月16日発売>掲載の「核心リポート03」に一部加筆)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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