週刊東洋経済 最新号を読む(5/16号)
東洋経済オンラインとは
キャリア・教育

数学が苦手な人は社会の仕組みがわかってない Netflixがつい見たくなる作品を薦めてくる訳

7分で読める

INDEX

私たちは毎日さまざまな計算の世話になっている(写真:metamorworks/iStock)

高校時代の数学の授業風景が思い浮かぶ。

先生をぼんやり眺める自分。電子黒板にはたくさんの数式と、何本かの接線を持つ山型のグラフ──。高校で数学を選択した人なら誰でもそうだろうが、公式やグラフの使い方は丸暗記するしかなかった。

私は数学の哲学者で、数学の成り立ちと、人間が数学をどうやって身につけるかについて考えている。この立場から、仕事で必要かどうかには関係なく、数学の実際的な価値はとても大きいことを理解している。

拙著『公式より大切な「数学」の話をしよう』でも詳しく書いているが、数学は現代の社会で重要な役割を果たしている。数学は、多くの人が思うほど無意味で不可解なものではない。むしろその逆なのだ。

数学は公式だけで片づけられるものではない。具体的な計算が求められるときに公式は便利だが、それに頼るあまり、ベースとなる考え方の理解がおろそかになってしまうこともよくあるからだ。

数学のなかには、驚くほど応用範囲が広く、誰でもたやすく理解できる分野がある。数式を使わずに説明できれば、さらにとっつきやすい。例えば、グラフ理論。グーグルなどの検索エンジンでは検索結果の順位づけに使われるが、がん患者の治療効果を予測したり、都市の交通状況を把握したりするためにも、同じ理論が役立てられている。

Netflixの「マッチ度」

映像をストリーミング配信するNetflixでも、グラフ理論が活用されている。作品ごとに緑色で示されている数字は、ふだん見ている作品との「マッチ度」だ。マッチ度が高いので気に入ると思って視聴したのに、まったくおもしろくなかった、ということもたまにある。

しかし、この数字をそれなりに信用してマッチ度の高い作品を選んでいくと、好きな映画やドラマの傾向がはっきりしてきてハズレが少なくなるはずだ。マッチ度は、新たな作品を視聴するたびに自動的に更新される。つまりコンピューターのプログラムで、ユーザーの好みに合う作品かどうかを判断しているわけで、作品の良しあしを評価しているわけではない。

基本的な考え方はとても単純で、「よいオススメ」とは、本人が「見て」気に入っている作品に似たものであるということだ。Netflixでは、世界じゅうの会員が「こちらもオススメ」にあげられた(つまり視聴済みの作品とのマッチ度が高い)作品を見ている。

次ページが続きます:
【ユーザーの好みと各作品のマッチ度はどうなる?】

2/4 PAGES
3/4 PAGES
4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

キャリア・教育

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象