プロ合唱団が開発「歌えるマスク」の実力とは 「ベリーダンス」の衣裳をヒントに完成した

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マスクについては、ホームページやツイッターで「マスク開発」の情報を公にすると、予想以上に「自分も欲しい」という声が。アマチュアの合唱団や学校の部活から、40、50という単位の注文がいくつも寄せられる事態となった。1万4500枚の注文がきている状態とのこと(8月28日時点)。それだけ、合唱を楽しみたいができない人が多くいるということだ。現在、縫製会社に依頼して量産体制を整えるなど、方策を検討中だ。

島村楽器が「管楽器用マスク」の販売開始

さて、ウイルスの脅威が身近にある社会では、合唱と同様、リスクを感じざるをえないのが笛などの息を使って奏でる楽器だ。今、プロアマの演奏家、学校の音楽授業や吹奏楽部を含め、幅広い層に甚大な影響がもたらされている。

そこでこのほど、企業としては初めて「管楽器用マスク」の販売を開始したのが島村楽器だ。ギターやバイオリンなどの弦楽器、各種管楽器や周辺雑貨、書籍などを販売するほか、学生や社会人をはじめ、ファミリーやシニアなど幅広い客層に向けた音楽教室を主要な事業とする。

くだんのマスクは、「シリカクリン・管楽器対応抗菌消臭立体マスク」(税抜1680円)。ぴったりフィットする立体形状で、口のところに吹き口を差し込む穴が設けられている。

島村楽器の管楽器専用マスク(税抜1680円)。口元に、管楽器を差し込むための切り込みが設けられている。湿気を調整する材質のため、マスクをしていても眼鏡がくもらないのも大きなメリット(写真:島村楽器)

開発の経緯について、商品開発を担当した堀越信明氏は次のように説明する。

「きっかけは、当社の音楽教室の担当から『ウイルス感染対策を講じつつレッスンを行えるアイテムはあるか』と相談を受けたことでした。管楽器のレッスンで、講師と生徒の間にビニールシートを立てる、あるいはリモートレッスンで教えるなど、工夫はしていたのですが、どうしても先生と生徒の間でコミュニケーションが取りにくい、リモートだと音質が悪いなど、レッスンの質が落ちてしまっているとのことでした」(堀越氏)

同社は従業員約2300人のほか、個人事業主も含むおよそ1500人の音楽講師を抱える。彼らが音楽教室で十分に力を発揮できないと、事業にも響いてくるわけだ。

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