「法務部門で働きたいのですが・・・」(22歳男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談
<城繁幸氏の診断>
診断:『新卒→法務は狭き門』
法学部で勉強した身にとって、“法務”という言葉は、一種独特の魅力的な響きがあります。ところが、これほどマイナーな職種も他にありません。百人単位で新卒採用している大企業であっても、求人内容に法務と明記している企業は非常に少ないですね。
ただ、別に法務部門がいらないというわけではありません。
一般に、法務や財務経理、人事総務といった事務系間接部門には、営業やSEに比べると非常に少ない人員しか割り振られません(200人採用している企業で数人というレベルでしょう)。
こういう企業がもし求人に「法務」だの「財務」だの書いてしまうと、その数人の枠に百倍近い応募が集まってしまうわけです。これは応募する本人にも酷ですし、採用する側も骨が折れることになります(もともと大して志望もしていない人にまで、あらぬ希望を抱かせてしまうわけですから)。
ではどうやって上記のようなマイナー職種を採用するか。具体的には面接の中で、希望者を拾っていくことになります。
「君、エントリーシートの希望職種は“その他”になってるけど」
「はい、実は法務を希望しておりまして~」
と、ここから法務への旅はスタートすることになります。要するにわざわざ募集告知しなくても、熱心な希望者には、必ず遭遇するんですね。これは間接部門全般に言えることです。
もちろん「じゃあ言ったもん勝ちか!」というわけではありません。枠が少ない分、選抜はそれなりにハイレベルです。特に法務というのはかなりの専門性が求められるため、新人を育てるよりも、中途で採用しようという方針の企業が目に付きます。新卒で内定を勝ち取るのも無理ではありませんが、少なくとも「それなりの大学の法学部で4年間一生懸命勉強した」ことが大前提でしょう(余談ですが、私も法務志望ではねられた口です)