韓国の「半導体材料国産化」を見くびれない理由 模倣や日本企業からの人材引き抜きに警戒だ

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こじれにこじれた日韓関係の先に待ち受けるのは?(写真:artswai/PIXTA)

日韓関係が戦後最悪の事態を迎えている。すでに「東洋経済オンライン」をはじめ多くのメディアが政治・外交上の難題について論じているので、本稿では経営戦略の視座から日本企業が見落としがちな点について指摘したい。

日本政府は8月2日、韓国を輸出管理上の優遇国である「ホワイト国」の対象から外すことを閣議決定した。これに対して、今後、韓国政府はさまざまな対抗措置を講じてくると見込まれる。

韓国が打ち出した宣言に日本は強気な姿勢

日本が半導体材料の対韓輸出規制を実施した直後に、韓国が打ち出した「半導体材料国産化宣言」はその1つだ。日本政府による半導体材料の対韓輸出規制強化を受け、韓国政府は半導体の材料や部品、設備などを国産化するため、研究開発投資に毎年1兆ウォン(約920億円)規模を集中投資する方針を打ち出した。

続いて5日、半導体、ディスプレー、自動車、電機・電子、機械・金属、基礎化学の6大分野から100品目を戦略品目に指定し、7年間で7兆8000億ウォン(約6800億円)を投じる「素材・部品・装備競争力強化対策」を発表した。

このうち、日本政府が輸出規制の対象とし、日本企業が世界シェア70~90%を占める半導体材料、高純度フッ化水素、レジスト(感光材)、フッ化ポリイミドなどを含む20品目は、1年以内に日本依存から脱却するという。ただし、すべて国産化で対応して供給安定化をはかろうとしているわけではなく、日本以外から調達する輸入先拡大も視野に入れているようだ。

これらの発表を受けて、日本の関係者は「日本メーカー各社が長年にわたり蓄積してきた技術に追いつく(国産化)には時間がかかる」と異口同音に強気の姿勢を示している。

これまで、同様のセリフを何度聞いてきたことか。そう言っていたはずの家電、半導体、液晶・有機ELパネル、2次電池、スマートフォンなどは、韓国にあっという間にキャッチアップされ、品目によっては追い抜かれリードされてしまった。

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