千葉湾岸で勃発!苛烈なSC集客合戦 勝つのはイオンモールか?ららぽーとか?

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日本ショッピングセンター協会によると、国内SCの施設数は改正まちづくり3法が施行された2007年以降、増加ペースが鈍っていた。ところが、2013年の新規開業SC数は65で2012年の35から急増し、6年ぶりに前年を上回った。その結果、2013年末の国内SC数は3134となる見込みだ。

デベロッパーにとって、SCは安定的に高稼働が見込めるアセットタイプ。さらに、国内景気が回復傾向にあることや、震災直後に出店を見合わせた反動もあって、目下のところ、大型商業施設の開業ラッシュとなっている。実際、イオンモールは2013年度こそ国内5出店にとどまるものの、2014年度、2015年度は2期連続で2ケタ出店を計画している。その一方で、出店立地の限られた大都市圏では、新規施設と既存施設との商圏がバッティングするケースが増えている。

開業ラッシュに疲弊するテナント

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広々としたイオンモール幕張新都心には360の店舗が入っている(撮影:尾形文繁)

こうした開業ラッシュを冷めた目で見るテナントも多い。イオンモール幕張新都心とららぽーとTOKYO-BAYの両方に出店している企業からは「ただでさえ最近は、開業から1年経つと売り上げが急減する商業施設が多い。万が一、既存店舗と食い合えば、出店した意味がない」との声も漏れる。

また、新規商業施設のオープンに際して、新業態や県内初出店の数を集客の謳い文句にするケースが増えているが、「新業態を出すのはデベロッパーの見栄に付き合わされているだけ。既存業態と大差ない新業態を出店するブランドもある」(アパレル大手)。さらに、巨大商業施設の開業は地域の雇用を生む一方で、店舗スタッフの取り合いも引き起こす。その結果、人件費の高騰に頭を悩ますテナントも後を絶たない。

イオンと三井不動産の直接対決は、千葉湾岸で終わりではない。2015年には「ららぽーと立川」(東京都立川市)がオープンすることで、既存の「イオンモールむさし村山」(東京都武蔵村山市)との激突が予想される。さらに、神奈川県平塚市でも、ららぽーととイオンモール双方に開発計画がある。疲弊ぎみのテナントをよそに、大規模SCの出店競争はまだしばらく収まりそうにない。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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