[中央] マーケティング本部 ソリューション戦略部 部長 大野 嘉人 氏
[右] マーケティング本部 ソリューション戦略部 シニアリサーチャー 白井 秀幸 氏
オフィス支出は経費か投資か?
トップの価値観が未来を変える
オフィスに関わる支出は、「経費」ではなく「投資」である。
そう考える経営者が増えてきた。
働きやすい環境を整えることでワーカーの力を引き出し、企業を活性化させる。つまりオフィスづくりは経営戦略の一環である、という発想である。
だが、“働きやすい環境”の定義は時代とともに変遷し、業種や企業によっても千差万別。働く人やその働き方もますます多様化しているのが現状だ。
だからこそ、これからのオフィスづくりに「多様性(ダイバーシティ)」というキーワードは欠かせない、とオカムラは考える。
「従来のオフィスづくりは、省スペース省コストの効率重視で進められる傾向にあった。いわば、少しでも抑えたい“経費”として捉えられていたんですね。また働き方自体も、みんなが力を合わせて作業効率を上げることが優先されていました。しかし近年、競争はグローバルレベルで行われ、ワーカーも外国人をはじめ女性やアクティブシニアなどの進出が当たり前に。またワークライフバランスの浸透により、育児や親の介護、社会貢献など自分の時間も大切にする働き方が奨励される時代になっています。多彩なワーカーと働き方が増えていく環境下、個人個人の能力をいかに引き出し、チームの、企業のパワーに変換するかは、企業の大きな経営課題といえるでしょう」(岡村製作所 マーケティング本部 ソリューション戦略部 シニアリサーチャー白井秀幸氏)
一方で、“企業の顔”としてのオフィスづくりも活発化している。経営者の考えをオフィスに表現することで、オフィス環境自体が従業員へのメッセージとなり、またその思想に共鳴した人が入社し、即戦力となったりもする。もちろんブランディングとしての宣伝効果も大きく発揮される。
オフィスに投資する価値はあると考える経営者が増えるのも、当然のことであろう。
モチベーションへの影響要因を
見える化し、オフィスづくりに反映
実際、一般社団法人日本オフィス家具協会(JOIFA)のアンケート調査によれば、経営者の約60%が「オフィス支出は投資」と考えており、さらに30%が「将来のオフィス支出は増える」と回答。逆に「減る」と回答した経営者はわずか16%に留まったという。
そうした風潮からも、オフィス改善や移転の現場に経営者自らが積極的に参加するケースは増えているようだ。
では、経営者たちはオフィス改善のどこに興味を持っているのだろうか。
先述のアンケートによれば、その筆頭は「耐震性能など安全性確保」で19.6%、次いで「社員のモチベーション向上」が17.9%と迫っている。
社員のモチベーション向上には、評価制度やICTを使ったワークスタイルの改善などだけでなく、「個人の特性に配慮したオフィスづくり」の効果も大きく見直されてきているという証であろう。
しかし、ひと口にモチベーション向上といっても、それをオフィスという環境でどう実現するのか。
まずは現状の問題点を把握する必要がある。その点、オカムラには組織のモチベーションへの影響要因の度合いを見える化する手法がある。ワーカーへのアンケートにより、知的生産性に関する組織要因と個人要因を抽出し、対象部署の状況を分析するというものだ(図参照)。

たとえば、上図のマトリックスで「企業戦士」にプロットされた部署は、組織要因である「コミュニケーションと信頼」「組織の柔軟性」はいずれも高い状況にある。しかし、個人要因のうち「組織への帰属性」は高いものの、「個人の革新性」は低いといった課題が読み取れる。そこで、この部署では「個人の革新性」を引き出すことを目標にオフィスをデザインする、となるわけだ。
ここで浮上するのが、「多様性」というキーワードである。個々の多様な気質に配慮し、革新性を生み出すオフィスとは──?
オカムラの新提案「Quiet revolution」に、その答えを探ってみたい。
“オフィスで働く人の約63%は、内向型人間でした”
オカムラが掲げるオフィスづくりの新テーマ、「Quiet revolution(個を活かし、多様性に応えるオフィス環境へ、静かなる革新を)」。
これは、オフィスで働く多様な人たちに適した新しい環境のあり方を提案するものだ。
その方向性を確信したのは、内向型人間の秘めたる力に焦点を当て話題となった、スーザン・ケイン氏の著書『Quiet 内向型人間の時代』。
同書に感銘を受けたオカムラは、スーザン・ケイン氏を招いて講演会を開催。組織を活性化させるうえで重要な鍵を握る「内向的な人」の持つ力を紹介し、その能力を引き出すオフィスづくりへの意気込みを新たにした。
スーザン・ケイン氏によると、声が大きく、コミュニケーション能力に優れ、リーダーシップを発揮する外向型人間に対し、内向型人間はクリエイティブな発想や、時間をかけて問題解決に取り組む忍耐力と綿密性、そしてリスク管理能力に長けているという。
そしてこの内向型人間は意外に多く、オカムラの調査では、日本のオフィスで働く人の63%が自分を「内向的」「やや内向的」と認識していることがわかった。
企業の過半数を占める内向型の人たちに持てる力を発揮してもらうことは、これからの大きな経営課題といえるだろう。
オカムラの提唱する「Quiet revolution」は、まさにそれを実現する“静かなる革新”なのである。
ひとりで集中できる環境が
今のオフィスには不足している
問題は、これまでフォーカスされていなかった内向型人間の働きやすさを、オフィスのどこに求めるかということだ。
「当社の調査によると、オフィスワーカーの77%はまわりの人との仕切りのない島型対向式の執務環境で働いています」というのは、同社プロジェクトデザイン部の後藤敏和部長。

「この方式はスペース的に最も効率がよく、且つ組織変更等による人員増減にも柔軟に対応できるので、ランニングコストが抑えられるメリットがあります。しかし、どこに行っても同じ環境で、それが本来の業務にとって本当に効率的なのかという疑問もありました。また島型対向式やオープンオフィスは、仲間とコミュニケーションをとりながら仕事をするには適していますが、ひとりでじっくり考えるような仕事には課題もあります」
たとえ外向的な人であっても、ひとりで考えたいときはあるし、他人に邪魔されず自分の仕事に専念したいと思うこともある。
残念ながら、これまでの日本のオフィスはそうしたニーズに応える環境が少なかった。すなわち、ここに着目することが“革命”の最大ポイントとなる。
では、集中しやすい環境とは、どんなスペースなのだろうか。
まず、集中を妨げる主な要素は2つ。「騒音」と「他人の視線」だ。もちろん、人によっては「まわりが多少ざわついているほうが集中できる」「覗かれても構わないが、話し声は気になる」など、好みの環境がある。
これらを踏まえ、オカムラでは、ワーカーが集中しやすい環境を4つに分類(上図参照)。今後の新製品開発やオフィスレイアウトの提案に落とし込んでいくという。
多様な人と働き方に合わせて
柔軟に選べるオフィス空間
「ひとりで集中するだけでなく、2~3人で集まって考え、作業する仕事もオフィスには多くある。そうした環境もバランスよく整備していくことが、今後は必要となってくるでしょう」というのは、同社マーケティング本部 ソリューション戦略部の大野嘉人部長。
多様なワーカーが集まるオフィスには、多様な働き方に応じた環境が求められる。普段はオープンな環境でコミュニケーションを図り、少人数でプロジェクトを詰める際にはチームブースへ、集中して企画を練りたいときはひとりになれる環境に、というように状況に応じてフレキシブルに作業スペースを選択できるのが望ましい。
「フレキシブルなワークプレイスは、エンゲージメント(誓約)とマチュアリティー(大人性)を生み出すといわれます。自由な場を与えることで企業への忠誠心と、大人としての責任ある働きによる貢献が得られる。オフィスが経営戦略の要といわれる所以です」
「Quiet revolution」が巻き起こすオフィス革命。その詳細は、11月6~8日の「オカムラグランドフェア2013」で明らかにされる。(グランドフェアに関するお問い合わせ:株式会社 岡村製作所 フェア事務局 03-5561-4091)




