大胆提言!日本企業は今の半分に減るべきだ アトキンソン氏「日本人は人口減を舐めてる」

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人口減少が進んでいるのは日本だけではなく、一部の先進国でも同様です。しかし、同期間の人口減少は、ドイツで約1000万人、イタリアが約500万人、スペインは約300万人と、日本がその規模で他国を圧倒しています。

3月12日、丸善丸の内本店にて『新・生産性立国論』の刊行を記念記念した講演会を開催します。詳しくはこちら(撮影:今井康一)

つまり、これから数十年間にわたり、日本だけが他の先進諸国とはまったく違う経済環境に置かれ、どこよりも厳しい経済対策を強いられることになるのです。

マスコミなどを見ていると、移民を迎えたりロボットを導入することで、人口減少に対応できるというコメントをよく見ます。ここからも、多くの人は人口減少をただの言葉としてとらえており、その規模と意義を正しく把握しておらず、「のほほん」としている印象を受けます。

人口と経済には関係がないなど、とぼけたことを言う人すらいますが、今現在の先進国の経済規模ランキングは完全に人口ランキングを反映しているので、その指摘はまったくの誤りです。人口が減ることで消費者が減り、需要が減少して、需給バランスが崩れる傾向が強くなります。

そこで、やはり需給の調整が必要となります。

人口が増えて、企業数も増加した

これから数十年、日本の人口が減ってしまうのは、もはや避けがたい現実です。経済への打撃も、社会へ変革を迫る圧力が高まることも抗いがたい事実です。

しかし、これからの日本経済は、実は生産性が上がりやすい環境となります。なぜなら、人口の極端な減少によって経済が激変するからです。ただしこの状況を生かすも殺すも、経営戦略と国の政策次第です。

すでにその流れができ始めていますが、経営者は進んでM&A相手を探すべきです。かつて21行あった大手銀行が今は3行まで減ったように、ドラスティックな変革が求められます。政府が実施するべき政策はいくつかあるのですが、まずは「企業の数を削減」することが非常に重要です。私は、日本企業の数は今の半分まで減るべきだと考えています。

先進国の例をみると、企業数と人口の間には一定の相関が認められます。日本でも、戦後、人口が他国に類をみないスピードで増加するのに伴い、企業の数も大きく増えました。

しかし、先ほど説明したとおり、日本ではこれから数十年にわたって、生産年齢人口が他の先進国を大きく上回るスピードで減っていきます。それに伴い需要も大幅に減ります。人口の増加に伴って増加した企業の数は、人口が減るのであれば、それに伴い減少すべきなのは当然のことです。

要するに、消費者が減っているのですから、十分に企業数と供給量を減らさないと供給過剰となり、過当競争になって、デフレに拍車をかける結果になるのです。

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