白鵬はなぜこんなにも批判にさらされるのか

横綱「白鵬」の大きな矛盾が示す破格の器量

横綱とは、「品格」と「強さ」という相容れない要素を両立させることを求められる存在である(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

いま最も話を聴いてみたい人物といえば、なんといっても白鵬である。昨年の九州場所を前に発覚した暴行事件以来、相撲界が揺れに揺れているのはご存じのとおりだ。

上の画像をクリックするとHONZのサイトへジャンプします

メディアはわかりやすい対立の構図を仕立て上げ、それぞれの陣営の応援団を買って出た関係者が次から次にワイドショーに登場してはもっともらしい背景を語ってみせる。相撲界をめぐる空騒ぎは一向におさまる気配がない。

マスコミの視線は当然のごとく白鵬に集中する。なにしろ9年もの長きにわたって国技の頂点に君臨してきた人物だ。彼はいまどんな相撲観を持ち、どんな未来を思い描いているのか、その思うところが聴きたい。だが一連の騒動以来、黙して語ることがない。

のべ100時間余りにわたるインタビュー

その結果というべきか、いま白鵬は猛烈なバッシングにさらされている。思い上がっているだの傲慢だのと批判され、張り手やかち上げなどの取り口を「横綱らしくない」などと非難され、途中休場すれば「もう終わった」とまで言われる始末。

『白鵬伝』は、そんな現状に一石を投じる一冊だ。ただし本書はいわゆる評伝ではない。白鵬の相撲人生における3つの歴史的な瞬間について詳細に描いたものだ。1つ目は大鵬の偉業32回の優勝記録を塗り替えた瞬間、2つ目は伝説の大横綱・双葉山の不滅の69連勝に挑み敗れ去った瞬間、3つ目は歴代通算最多勝利1048勝を達成した瞬間である。

著者の朝田武藏氏は元日本経済新聞の記者。白鵬に足かけ8年、のべ100時間余りにわたるインタビューを重ねてきただけあって、初めて目にする白鵬の肉声が満載だ。ある箇所では、えっ!? そんなことを考えていたのと意表を突かれ、またある箇所では、なるほどそういう事情があったのかと腑に落ちた。だがなによりも驚かされたのは、本書の中で白鵬が惜しげもなく自らの手の内を明かしていることだろう。

次ページ白鵬にとっての最高機密事項
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
社外取締役のお寒い実態<br>なり手不足と低い出席率

「1人でも社外取締役がいれば」という時代は終わり、「取締役の3分の1以上必要」という時代へ。上場企業全体では6000人以上も不足することに。出席率の低い95人の実名を公開。