子どもの20年後のために親ができること
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2020年より学校教育の現場でもプログラミングが必修化される。これから子どもたちがプログラミングを身に付ける意味はどこにあるのか。「食える子」に育てるために大事なことは何か。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授の夏野剛氏に話を聞いた。

「プログラミング=理系」という間違い

 夏野さんは文系のご出身ですが、IT(理系)分野でご活躍されています。どのように理系の素養を身に付けられたのでしょうか。

夏野もともと中学生の頃からコンピュータオタクでした。大学時代も経済統計を解析するために計算機センターにこもってプログラミングをするような学生でした。ただ、そもそもプログラミングは理系独自の素養ではありません。「プログラミングが理系だ」という概念をつくってしまったこと自体、日本の教育の最大の間違いだと思います。たとえば、経済学やマーケティングは統計学に近い学問です。そうした学問は文系であれ、数学やプログラミングは必須なのです。

 というと、現在日本で定着している文系、理系という分類に意味はないですか。

夏野まったく意味がないですね。文系、理系という枠組みの弊害がどれほど大きいことか。少なくとも学部レベルでこれだけ文系、理系を別ものだと意識させる制度をとっているのは日本だけです。アメリカでも大学院では専攻がはっきり分かれていますが、学部はリベラルアーツが中心で、一般的に教養学部と言われるものが多い。学部段階では専門性より、もっと幅の広い教育をしています。企業の採用においても、それまで何をやってきたかは問われますが、文系、理系で枠が別だということもありません。

 2020年からは日本でも学校教育にプログラミング教育が導入されますが、どうお考えですか。

夏野まず言いたいことは、プログラミングを学ぶこと自体を目的にしてはいけないということです。大事なことは、プログラミングを通じて論理的な思考を学ぶことです。私が危惧するのは穴埋め式のテストのようなプログラミング教育になってしまうことです。「次の動作をするために、空欄にはどのようなコードが入るか」なんて問題は愚の骨頂です。

 プログラミングは論理的思考をすることが大前提です。暗記など必要ありません。論理的思考をしてこそ、コンピュータを自分の人生の味方にすることができるのです。プログラミングはあくまでコンピュータを使いこなすための手法です。そうしたプログラミングのポイントを忘れないでほしいと思っています。

夏野剛(なつの・たけし)●早稲田大学政治経済学部卒業後、東京ガス入社。米ペンシルベニア大学経営大学院ウォートンスクール(経営学修士)などを経て、NTTドコモでiモードの立ち上げに参画。大学教授のほか、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、トランスコスモス、DLE、GREEなどの取締役を兼任している

コンピュータを使えない人はこれから必要ない

 ビジネスにおいても、これからの時代プログラミングは必須ですか。

夏野コンピュータを使いこなせない人は、これから必要なくなるでしょう。と言うより、すでにそうした時代になっています。47都道府県の県庁所在地を覚えさせるような教育はまったく意味がありません。私は、これからの教育では「想像」と「創造」の2つの「ソウゾウ」が重要になってくると考えています。そして、プログラミングの考え方を身に付ければ、この2つのソウゾウをさらに膨らませることができる。だからこそ、プログラミング教育を通じて、「コンピュータが使えない、苦手だ」という意識をなくしていくべきなのです。

 コンピュータは、これから人生を生きていくうえで私たちの最大の味方となり、最強の武器になります。大人も同様です。経験値に加え、プログラミングを通じてコンピュータを武器にできれば、新たなビジネスにチャレンジすることだってできるのです。

 プログラミング教育は学校教育だけにとどまらないということですか。

夏野そうです。プログラミングは全世代にとって重要なものなのです。学校教育におけるプログラミングの必修化を、ぜひそのきっかけにしてほしい。たとえば、海外では「マインクラフト」(Minecraft:ブロックを設置して、冒険に行くゲーム)を使って、プログラミングの基礎を教えている学校もあります。マインクラフトのようなゲームの世界では、論理的思考が求められる。それはプログラミングそのものなのです。

 「食える子」=「時代が変わっても活躍できる子」に育てるために、親は子にどんな教育を与えればいいのでしょうか。

夏野日本という国が縮小していくことを前提に物事を考えるべきでしょう。これから人口が減少していく中で、日本の経済規模が縮小していくことは間違いないからです。

 では、縮小しないようにするにはどうすればいいのか。1つは国内で新しい付加価値を生むようなビジネスを次々つくること。もう1つは、グローバルに稼ぐことです。そのうちのどちらか1つ、またはその両方をやらないかぎり、現在の経済規模を維持できません。

 新しい付加価値を生むには、2つのソウゾウ、つまり「想像」と「創造」が必要です。これからは自由な想像力で、新しいものを創造できる機会をどれだけ子どもたちに与えられるかが重要になってきます。だからこそ、教育というプラットフォームを、「教えるプラットフォーム」から「学ぶ機会を提供するプラットフォーム」に変えなければならないのです。

子どもに教えてあげられることは多くない

夏野もう1つ重要なことは、2つのソウゾウを働かせるためには、子どもに自分の好きなものを見つけさせることです。自分が好きなものとは、何時間やっても苦にならないものです。自分の好きなものに子どもが出会うことができれば、その子は一生食べていけるでしょう。親は子どもが好きなものに出会えるような機会をたくさんつくるべきなのです。

 また、グローバルに稼ぐために必要なのは、1つは語学力ですが、もう1つ重要なことは多様性に対する受容性を高めることです。グローバルな世界には異質なものしかありません。だからこそ、教育の現場で異質なものを排除するイジメがいつまでも起こっていてはグローバル化など夢のまた夢です。よくイジメられる側にも問題があると言う人もいますが、それはまったく違う。多様性に対する受容性をいかに育てるかが重要なのです。

 夏野さんご自身は、どんな教育をお子さんにしていますか。

夏野詰め込んだ知識を競う受験システムは不毛だと思っています。そのために早い段階で付属校に入れて、試験にパスするための勉強より、自分が興味の持てるものを探し出してもらうようにしています。また、私はできるかぎり子どもを海外に連れていくようにしています。そこで何かを感じとってほしい。多様性に対する受容性を身に付けてほしいのです。

 未来をつくっていく子どもたちに、過去の人間である私たちの世代が教えられることはあまり多くありません。私たちが経験したことのない未来をつくるわけですから。だからできることは、一緒に経験することぐらいです。一緒に経験する機会は与えて、あとは子どもたちに任せるしかないんです。

 最後に読者へのメッセージをお願いします。

夏野プログラミングとは、コンピュータと人間の間をつなぐものです。その意味で、つなぐ手段を学ぶことと同時に、コンピュータとコミュニケーションするための論理的思考方法を学んでほしい。コンピュータは、自分にできないこともしてくれます。そのことで、どんな風にコンピュータが自分の役に立つのか。そこに気付くことも必要だと思っています。

ヤマダ電機のプログラミング教室

全国の約60店舗にて「Hour of Code」「Scratch」などの講座を開いている。教室では生徒がまったく同じことをするわけではなく、それぞれの課題に取り組むため、自分のレベルに合った学習ができる。週1回のコースや月1回のコースなど店舗によって実施回数や内容が異なるので近くのヤマダ電機で確認したい。

教材 Hour of Code のマインクラフト、Scratch
対象 小学1年生~6年生
時間 60分
操作 マウスを使って、ドラッグ&ドロップ
主な学習内容 順次処理、LOOP、IF文
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