政治家たちの何とも不透明で呆れ返る金遣い 税金を徴収する税務職員たちの苦労の裏で

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しかも任意団体のため情報開示の義務もない。まさにブラックボックスだが、ここをこじ開けるのは至難の業だ。番組ではこの議会を継続取材しているが、このブラックボックスをこじ開けなければ政治家たちの金遣い、税金の使い方は決して透明なものにならないだろう。

そんな税金を徴収している税務署員の必死な現場を政治家たちは知っているのだろうか。

「それでは国税徴収法第142条に基づいてただいまから捜索を開始させていただきます。」

朝8時、関東某所の住宅街。とある家の玄関で市役所の職員たちが宣言する。その直後、職員たちが堰を切ったように家の中へと入っていく。部屋の隅々まで“財産”がないか捜索し、あれば容赦なく差し押さえていく。それをただ茫然と見つめる家族。きちんとした収入がありながら多額の税金を滞納し、再三の催促にもかかわらず放置し続けた結果だ。

●国税徴収法第142条:徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる 

言うまでもなく、税金を納めることは国民の義務だ。どうも納得がいかない、不公平だ、無駄遣いしているじゃないか、と思うような方もいるかもしれないが、それでもしっかり納税されるからこそ行政は稼働し、サービスは機能する。その義務を怠り続け、逃げ回っているとこうした強制捜索が行われる。

捜索といえば通常、警察官はもとより、地検特捜部のように裁判所の許可が必要だが、税務職員には必要ない。驚くことに、家に誰もいなくても警察官や役所の人間を立会人に立てれば勝手に中に入って捜索できる。帰ってきたら家に役所の人間がいて家の中を捜索しているのだからたいていの滞納者は戸惑い、そして怒る。

無理もない事だとは思うが、その状況を作り出したのは何度督促しても応じず、役所の呼びかけを無視し続けたその滞納者本人なのだが。こうして今日も日本のどこかで捜索が行われている。そして、その捜索にはいつもすさまじいドラマがつきまとう。

税務職員はつらいよ

おとなしく捜索を受けてくれるなら仕事も楽なのだがそうはいかないのがこの捜索だ。現場は常に”修羅場“と化す。もともと払いたくない、できれば逃げ切りたいと思っている人も多いので「そんなもの払えるか!」と暴れ回り職員に食って掛かるもの。包丁を振り回し、揚げ句の果てには手首を切ろうとするもの、服を脱いで下着姿になる女性、職員を「孫の代まで祟る」と呪いの言葉をかけるものまでいる。

捜索する税務職員たち(実録!金の事件簿2より)。『金曜プレミアム・実録!金の事件簿3~こんな奴らは許さない~』(フジテレビ系)は12月8日(金)よる9時から放送。今回も税金滞納の徴収現場の実録映像をふんだんに放送、さらに交通違反の反則金を放置することによって結果逮捕されるという捜査の現場にも密着している

滞納しておきながら再三の催促にも応じず呆れた態度だが向き合う職員たちの苦労は計り知れない。根気よくなだめ、諭し、説明し、必要とあれば分割納付の相談にも乗る。初めから催促に応じ、役所に来てくれればこんなことにはならないのに…こんなつらい現場はない、そうボヤく職員もいる。

捜索する側も「こんなことはしたくない」のが本音なのだ。それでも彼らは責務を果たすべく滞納者たちと向き合う。中には捜索に入ったことで生活困窮状態が発覚し、救済するケースもある。まさに市民のライフラインの役目も担っているのが税務職員なのかもしれない。確かにはたから見ればそのやりとり、攻防が激しく、面白くもある。

その一方で税務職員たちの苦労は計り知れないものがある。現場の税務職員たちの働きを少しでも知れば政治家の皆さんもいい加減な税金の使い方はできないはずだ。

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