91歳江沢民元国家主席の巨大虫眼鏡が話題に 第19回共産党大会に見た中国らしさ
会場の人民大会堂に入るには、X線検査器や金属探知機を使った空港並みのセキュリティーチェックを通る必要があった。外部からの飲食物の持ち込みは禁止だ。雨のなか日の出前から列に並んだ取材記者は多かったが、携帯電話の持ち込みは1人1台に制限された。
人民大会堂で習氏は、今後数十年先までの力強く自信にあふれた中国のビジョンを語った。この演説は、今後数カ月かけて全土の党員が集中的に研究し、演説内容や言葉遣いのお手本として使われる。
「人民大会堂」のロゴ入り紙コップ
それでも、中国の政治家の基準からみてもこの演説は「マラソン」で、途中で居眠りする出席者もいた。
休憩したい出席者には、ホールの外で身長順に並んだ制服の係員がお茶やお湯を「人民大会堂」のロゴ入り紙コップに注いでくれた。
5年前の第18回党大会の時にもいた係員は、変更点は何もないと話す。
「全て同じだ。ただ、われわれのサービスは良くなっている」
強力な権力を持つ党の中央委員会委員や過去の指導者が並んだステージの上では、係員の男女が定期的に同時にステージの両袖から行進して現れては、磁器の茶碗にお湯を注いでいた。2時間が経過すると、トイレ休憩に立つ出席者も出てきた。
四川省代表団のLuo Jialin氏は、人民大会堂内の郵便局に急ぎ、同大会堂の消印を押した党大会の記念切手シート5部を450元(約7600円)で購入した。
「とても記念になるので、地元に持って帰る」と、Luo氏は言った。
習氏の演説は生中継され、テレビなどで見る人たちの様子がソーシャルメディア上に流れた。病院の医師たちから、チベットの僧侶、拘置所の囚人、中には幼稚園の子どもたちまでいた。演説の様子を生中継するテレビの前に座る猫の写真も投稿された。
外国人記者向けに印刷された習氏の演説原稿はラオス語やポルトガル語を含む12カ国語で出され、5年前の8カ国語から増加した。中国語版は68ページあった。
あまり人前に出てこない91歳の江沢民元国家主席が、大きな虫眼鏡で手元の原稿を見る写真は、瞬く間にネット上で拡散した。
後になって、江氏の虫眼鏡がドイツ製であることを誰かが突き止め、通販サイト「淘宝網(タオバオ)」に出ていたその広告写真を投稿した。価格は1598元(約2万7000円)だった。
(John Ruwitch 翻訳:山口香子 編集:伊藤典子)
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