日本で「痴漢にされた」エリート外国人の末路

4年間乗車した通勤電車で起きた悲劇

「でも私はやっていない!」マイケルさんは、ついに声を荒らげた。すると、弁護士は一拍おいて、「いいですか、マイケルさん」とこう始めた。「もしあなたが容疑を認めないなら、警察はあなたを最大23日間拘束し続ける。そして、警察はあなたが罪を犯したと考えれば、あなたを起訴するかもしれない。その事件が検察官に委ねられ、裁判で判事によってあなたに有罪判決が下されれば、あなたは刑を受けることになります」

「その一方で、もし痴漢を認めるのなら、数日のうちに罰金が科され、前科はつくが、ここから出られるでしょう。考えてみて下さい。ご家族のことを考えてみて下さい」

無罪を主張することはリスクが高すぎる

マイケルさんは、自身が勤める国際的な大手企業で重要な責任を担っているような人物だ。道徳心もあるし、人から信頼される人物でもある。そして、自分に自信も持っている。しかし、留置所に戻ってしばらくすると、マイケルさんは自白することに決めた。弁護士たちと同様、無罪を主張することはリスクが高すぎると考えたからだ。

彼の取り調べを行った警察官に対して、彼は今までの主張を撤回。警察が求める「罪の自白」に合うように、すべての供述を書き換えた。「このとき、警察は私が実際にそれをやったかどうかを尋ねることはしませんでした。ただ起こったことだけを尋ねました。警察は真実には関心がなかったのだと思います」とマイケルさんは振り返る。

今やマイケルさんには前科がついている。心に傷を負ったマイケルさんは家族とともに日本を離れ、二度と戻ってくることはないと話している。

筆者はマイケルさんのことをよく知っていて、無実だと信じているが、彼が罪を犯したかどうかを知ることは不可能だ。しかし、マイケルさんの経験から明らかなのは、痴漢容疑で警察にいったん拘束されたら、その後悲惨な状況が待っているということだ。

マイケルさんの話は、私が知っている日本に住む外国人の中では、かなり有名な話だ。同じことが、自分の身にも起こる可能性があることを彼らはわかっており、中には誤って告発されることが怖くて、電車に乗るのを心配している人も数多くいる。通勤電車の中ではずっと手を挙げているという外国人もいるほどだ。

最大23日間という日本の拘束期間は、先進国の中でも最長だ。本来であれば、これは特別な拘留所で行われるべきだが、1908年に拘留所不足からできた暫定制度によって、警察署に拘束されることが多い。取り調べの環境もまた、警察の裁量に委ねられているようだ。

マイケルさんのように、取り調べを10時間以上受けさせられる場合もあり、食事やトイレなども自由には認められないことすらある。さらに、再逮捕されれば、23日間の拘束期間は延長されることもある。もっとも、最近では、東京地裁は、痴漢事件の場合、一定の条件を満たせば勾留を認めない扱いをしているようだ。

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