日本にいながら日本語が話せない子を救え 社会から見落とされがちな「言語難民」の真実
今、日本で働く外国人の数が急増しています。届出があるだけでも昨年、初めて100万人を突破し、2020年に向けてその数はさらに増えると見込まれています。こうした状況を受け、今後、外国にルーツを持つ子ども達への適切な教育支援の枠組みを整備することはとても大切な課題だと思っています。
子どもたちにとっての居場所としての日本語教室
「以前、私はずっと友達を大切にしていた。でも今はみんな離れました。私も頑張った。私も皆さんと一緒に遊びたい。でも本当に1人で寂しくて、恥ずかしいです」
これは、去年5月に中国・吉林省から来日したゾウ・フォーン君(16)の言葉です。高校受験に挑戦するため私たちの教室に通い始めました。
父親が東京・池袋にある中華料理店で働くため家族を連れて来日、当時、フォーン君は日本語をほとんど話すことができませんでした。将来の夢は鉄道会社で運転士になること。高校への進学は夢を叶えるために必要不可欠。フォーン君は八王子市立の夜間中学に通いながら、私たちの教室で日本語の勉強を重ねてきました。語彙や文法を学ぶだけではなく、日本語の細かなニュアンスを使い分けるのに必要な、日本の習慣や文化、自然、歴史なども合わせて教えます。
なかなか友達ができず、寂しさを募らせるフォーン君は、時折SNSに辛い心情を綴ったりもしていましたが、そうした書き込み一つ一つにもコメントをつけるなどして精神的な支えとなることを目指し、彼の受験をサポートしました。
合格発表前日、プレッシャーから涙を流すフォーン君を講師が抱きしめ、背中をさすり励まして、教室を送り出すこともありました。ここの教室が不安な日々を過ごす子ども達の居場所としても機能してほしい、スタッフ全体で共有している思いです。
教室では日々こうした講師と生徒との交流が続いています。全国で孤立する子供たちを支援するため昨年からはオンライン学習システムの実験的導入も始めましたが、今年はさらに経済的な理由で学校に通えない子供達の支援を拡充するため、新たに無償枠を増やすことを決めました。予算の都合で一旦取りやめていた、送迎サービスの再導入も計画しています。
1人の生徒が、日本語が話せるようになり、学校生活を主体的に送ることができるようになるまでの期間は約1年。高校受験を控えた中学生への支援で1人あたり約20万円あれば全てのコストを賄うことができます。毎年、私たちが支援している子どもたち約100名のうち、約25%が生活困窮・外国人ひとり親世帯に暮らしています。今年は、こうした子どもたちのために、最低でも20人~25人分程度の無償枠を確保する計画で、そのための300万円を調達するため発信を始めています。
社会から見落とされがちなこの問題に、ぜひ、多くの人たちの関心が寄せられ、継続的なご支援をいただければと願っています。ぜひ皆さんのお力をお貸しください。
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