26歳。結婚すれば、違う風景を見ることができるかもと結婚をしている。たまたま酒場で知り合って、勢いで付き合った5歳上のサラリーマンと入籍。販売員の仕事は継続して、共稼ぎ世帯となった。
「延々とDVされました。記憶がないくらい嫌な思い出で、どうしてあの人と結婚したのかとかは詳しくは覚えていないくらい。結婚して同居初日で、おかしいと思いました。すごくこだわりが強い人で、料理にいろいろ文句つけて、全部手作りじゃないと嫌みたいな。私は仕事をしていて本当に時間がないし、家事も洗濯も文句言われて本当に理不尽だと思いました」
元夫と彼女は同じ週5日勤務で収入も同程度だったが、家事はすべて妻である彼女がやらされた。また、金銭管理は夫で自分の給与は全額夫の通帳に振り込まされた。母親と同じような料理を作れと要求され、給与を取られ、不満が大きくなりすぎ、だんだんと精神的に追い詰められていった。
結婚初日で不満を抱え、1カ月で軽率な選択を後悔した。元夫は結婚生活に満足していたが、だんだんと深い不満を抱える妻と亀裂が生まれる。
佐伯さんは結婚生活のストレスで、体調を崩すことが日常となった。旦那は妻の体調が悪くなると舌打ちして、実家に行くことも病院に行くことも許さなかった。
土下座させられて朝まで怒鳴られる
「とにかく、怒る。怒ると止まらなくなっちゃう。私はどうして怒られているのかわからなくて、いつもちょっとしたこと。会話をすると、私が発言した意図とは全然違うとらえ方をして、ずっと朝まで怒鳴り続けるみたいな。土下座をさせられる。具体的なやり取りの詳細はどうしても思い出せないけど、要は自分の思いどおりに動かないとキレて怒鳴って、延々土下座をさせるわけです」
フローリングの硬くて冷たい床に正座して頭を下げながら、朝まで怒鳴り声を聞き続ける。病的なモラハラと気づいて、いくら怒られても自分を責めることはなかったが、精神的にはとことん疲弊した。睡眠時間も減り、日常生活にも支障をきたすようになった。
「最後に朝方まで土下座させられた日、“ちょっとお腹痛いからトイレ行かせてください”って携帯を隠し持ってトイレから110番しました。助けてって警察呼びました。すぐに警察は来てくれて、別々の部屋に移されて、朝方だったので私は自分から頼んで警察に保護してもらいました。それが元夫との最後です。事情を話して仕事は何日か休んでいったん実家に戻りました。それで離婚しました。2年半前です」
実家から職場は2時間以上、とても遠くて通えない。元夫に給与全額を振り込む夫婦生活だったので、おカネはない。クレジット会社から50万円を借りて、現在居住する月7万2000円のアパートを借りた。
「もう、結婚はいいです。これから独りで生きていくって考えると、将来のことも考えます。とても人間扱いされない派遣販売員を一生やる気にはなれないし、そんな人生嫌です。何かしようと思って、離婚後からデザイン系のパソコンスクールに通い始めました」
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