“起業力”をビジネスに生かす イノベーションを生む知識コミュニティ
起業を次々に生み出す「スピンオフの連鎖」の源泉とは?
起業家活動を取り巻く、そのような現状を解決する糸口として、教授が着目するのが、「企業が意図することなくインキュベーションを果たしてきた」という事実だ。
インテル、AMDを生んだことで知られる米国の半導体メーカー「フェアチャイルド・セミコンダクター」やイタリアの包装機械メーカーや医療機器メーカーなど、起業家を数多く輩出した企業の事例を紹介。
「既存企業のマネジメントのあり方に対する不満や社内で影響力を持つ人材の独立などが要因となり、新たな起業が生まれます。そして、この成功を受け、次の世代が続く——、この『スピンオフの連鎖』を生み出す源泉となるのが、『知識コミュニティ』の存在です」(稲垣教授)というのだ。
知識コミュニティとは、レイブとウェンガーが提唱する「実践のコミュニティ」に近い概念で、
1)特定の文脈を共有した知識の探求を目的とし、
2)所属組織を超えて関心を持つ者が集い
3)ヒエラルキーの上下関係がなく、誰が何をしているかを知り、相互の情報が行き交い
4)新たな課題が持ち込まれる
という特徴を持つ。2)所属組織を超えて関心を持つ者が集い
3)ヒエラルキーの上下関係がなく、誰が何をしているかを知り、相互の情報が行き交い
4)新たな課題が持ち込まれる
そして、「このコミュニティからさらに組織化されたチームが既存企業から分離し、起業に向かう」(稲垣教授)という。