米雇用、4月は16万人増と7カ月ぶり小幅増 年内複数回の利上げに疑問符 7カ月ぶりの低い伸びにとどまる
[ワシントン 6日 ロイター] - 米労働省が発表した4月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が16万人増と、7カ月ぶりの低い伸びにとどまった。伸びは市場予想の20万2000人増および、第1・四半期の月間の平均である20万人増を下回り、米連邦準備理事会(FRB)による年内複数回の利上げの可能性に影を落とす結果となった。
失業率は5.0%で変わらずで、予想と一致。ただ、職探しをあきらめた人の増加を反映している。
2・3月分は1万9000人下方修正された。
明るい材料もみられ、時間当たり賃金は前月比0.3%増となった。前年比では2.5%増と、3月の2.3%増から加速。ただ、インフレ率がFRBの目標である2%に達するには、3%の伸びが必要とアナリストはみている。
このほか、平均週間労働時間は34.5時間と、前月の34.4時間から増加。賃金と労働時間の伸びで労働者の手取り所得は0.7%増加。消費支出の押し上げに寄与すると見られている。
フェデレーティッド・インベスターズの首席株式市場ストラテジスト、フィル・オーランド氏は「9月利上げの可能性も危ぶまれる結果で、6月利上げの可能性を見込んでいた向きにとどめを刺す内容となった。ただ、景気は年末には改善していることを見込む」と語った。
バークレイズ(ニュ-ヨーク)の首席エコノミスト、マイケル・ガペン氏は、「経済活動、および労働市場における活動が軟調だった年初から回復しつつあるとの情報を政策担当者が十分に入手するには時間がかかるため、年内の利上げは9月の1回のみになる」と予想。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチなど他の米金融機関も年内の利上げ回数を2回から1回に下方修正した。
このほか、スティフェル・フィクストインカム(シカゴ)のエコノミスト、リンゼイー・ピエグザ氏は「今回の統計で雇用創出のペースが緩やかに減速しているとの初期の兆候が出ていることが示唆された」と指摘。エコノミストの間では企業投資が弱含み、建設部門などで熟練労働者が不足するなか、雇用の伸びの減速は予想通りとの見方も出ている。
統計の内容はまた、第1・四半期に低調となっていた米経済活動が第2・四半期に持ち直すとの期待にも冷や水を浴びせる結果となった。
労働参加率は62.8%と、0.2%ポイント低下。労働人口は36万2000人減だった。
就業率は59.7%と、7年ぶりの高水準となっていた3月の59.9%から低下した。
より広義の失業を示すU─6失業率は9.7%と、前月の9.8%から低下した。
民間部門の雇用者数は17万4000人増。一方、政府は1万1000人減だった。
業種別では、製造業の雇用が4000人増と、3月の2万9000人減からプラスに転じた。
鉱業は8000人減。原油価格の低迷を背景にエネルギー部門の業績が落ち込む中、鉱業部門の雇用は2014年9月のピーク時から19万1000人減少した。
建設は1000人増と、増加にブレーキがかかった。
第1・四半期に大きく増加していた小売は3100人減少。2014年12月以来初めての減少となった。
情報の雇用者数は変わらず。労働省は、通信大手ベライゾンの従業員約4万人によるストライキが影響した兆候は示されなかったとしている。
統計を受け、ドルは対円・ユーロで下落。米株価は小幅安で推移、米債価格は上昇した。
CMEグループのフェドウォッチによると、6月14─15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが実施される確率はほぼゼロとなった。9月もしくは11月の利上げ確率は40%以下、12月は48%。
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