玉塚ローソン、社長交代に垣間見える「焦り」 あえて三菱商事を巻き込む意図とは?
ローソンは国内店舗数で「業界2位」という枕詞が当たり前のように使われてきた。が、3位のファミマが4位のサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスと、今年9月の経営統合で合意。単純合算で店数は約1.8万店となり、首位セブン-イレブン・ジャパンに肉薄する。
一方のローソンは、店数約1.2万店で3位に陥落。日販(1日当たり1店売上高)もセブンとは10万円以上の差が開いた。業界での存在感が後退しつつある中、CEO・COO体制でセブンやファミマに対抗していく構えだ。
具体的な狙いは二つある
今回の具体的な狙いは二つ。一つは竹増氏のトップ昇格による海外テコ入れである。
コンビニの海外進出は、進出先の情報に精通している現地企業と組み、店舗運営をしていくのが一般的。竹増氏は海外部門を担当してきたが、副社長の肩書では、交渉相手の信頼を得るまでに時間を要することも多々あった。
ローソンはセブンやファミマよりも海外進出が遅れている。社長という肩書を武器に交渉力を強め、海外展開を一層加速させる目的がある。
もう一つの狙いが筆頭株主である三菱商事のリソースをローソンに引っ張り込むことだ。竹増氏は同社出身で2014年5月、副社長としてローソンに移ってきた。玉塚氏は、「三菱商事出身の社長がいることでその覚悟(を引き出すこと)が狙える」と、サポート力への期待は大きい。
特にローソンは2017年2月期から、山崎製パンや日本水産、キユーピーなど、ローソン専用工場を持つ会社に対して、自らが設備投資を実施する。製造部門に積極的に関与し商品開発に生かす狙いだが、資金や人材面で三菱商事のバックアップは不可欠。今回の竹増新社長誕生をきっかけに、「三菱商事を巻き込んで、グループの総力戦に持っていく」(玉塚氏)。
体制変更をきっかけに改革を加速したいローソン。ただ、三菱商事の関与が過度に強まれば、玉塚氏の裁量は狭まりかねない。三菱商事の立ち位置が今後のローソンの行く末を左右しそうだ。
(「週刊東洋経済」2016年4月9日号<4日発売>「核心リポート06」を転載)
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