「月に囚われた男」の魅力を知っていますか

良質なSF映画には強烈な衝撃がある

SF映画はハラハラ、ドキドキ。そこがたまらない(イラスト:ツネオMP / PIXTA)
モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス社)と東洋経済オンラインのコラボ企画。「たかみひろしのシネマ・ショウ」をお届けしよう。音楽・映像プロデューサーのたかみひろし氏が、毎回の特集するテーマに沿って必見のDVD/ブルーレイ作品を講評とともに紹介する企画。今回は、たかみ氏の得意とするSF映画だ。

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奇想天外、意外なラスト…。近年ではCGやVFXが中心に

「『ブレードランナー』に匹敵するSF映画」と称賛された『第9地区』(2009年)で衝撃的なデビューを飾った、南アフリカ出身の新鋭ニール・ブロムカンプ監督の最新話題作『エリジウム』は、またしても圧倒的なリアリティで見る者に迫る。このスケール感、世界感は、マンスリー・アワードにふさわしい。

「ナチスが月から攻めてきた!」のコピーでおなじみ(?)の『アイアン・スカイ』のディレクターズ・カット版。ヨーロッパ各国で大ヒットした本作は、完成版を望むファンから制作費のカンパが1億円もあったという。そしてファン待望の20分に及ぶ未公開シーンがプラスされたDC版だ。未公開シーンがプラスされ、初出のインタビューや75分ものメイキング映像がプラスされたとなれば、すでに劇場公開版を購入した方も、買い換えざるを得ないのがファンのつらいところ(涙)。

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ところで、元来SFというのは、“センス・オブ・ワンダー”が命だったのだが、近年はCGやVFXが中心、つまり映像技術を誇示するタイプのSF(これはこれで嫌いではない!)がほとんど。SFならではのラストの意外などんでん返し=オチが楽しめる作品は、アイデアの枯渇と共に減少するばかりだ。たとえば『猿の惑星』や『ソイレント・グリーン』のようなラストの強烈な衝撃が懐かしい。

『月に囚われた男』は、その“センス・オブ・ワンダー”あふれる良質なSF映画だ。部分的に、『2001年宇宙の旅』『サイレント・ランニング』『ソラリス』などなど、さまざまなSF名画の匂いを嗅ぎ取れる本作はまた、あのデヴィッド・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズが初監督したことでも話題となった。『月に囚われた男』という邦題は、ボウイの『地球に落ちてきた男』とリンクさせたものだろう。

『ストーカー』(1979年)が、アンドレイ・タルコフスキー監督により映画化されていることで知られる、世界的に有名なロシアのSF作家、ストルガツキー兄弟原作の『プリズナー・オブ・パワー 囚われの惑星』(原作タイトルは『収容所惑星』で、日本でも翻訳版が文庫本ほかで出版済)は、ストーリー展開が少しだるかったり、わかりにくかったりするが(苦笑)、ロシアンSF独自の摩訶不思議なテイストは、たまらない。これは「インターナショナル編集版」でなく、ぜひ本来の2部作を、(保存盤として)ブルーレイで発売してほしい。

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