あの映画で「自分目線」がもてはやされるワケ

製作者側も工夫を凝らすホラーの演出法

気が抜けないストーリー展開にハラハラです(写真:Syda Productions / PIXTA)
モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス社)と東洋経済オンラインのコラボ企画。「たかみひろしのシネマ・ショウ」をお届けしよう。音楽・映像プロデューサーのたかみひろし氏が、毎回の特集するテーマに沿って必見のDVD/ブルーレイ作品を講評とともに紹介する企画。先週に続き、今回もホラーだ。

「POV」の映画に注目!

どの作品もレンタルで観る分には充分楽しめるホラー作ばかり。今回もたかみ苦手のスプラッター作が登場。年配者にはある種の疲労がたまる分野だ(苦笑)。

さて以前に「このジャンルは、製作する側も(ネタ切れを意識しつつ?)工夫を凝らしているのだ」と書いたが、今回注目したい“工夫”のひとつが、いわゆる“POV方式”の映画だ。POVとは「Point of View(Shot)」の略で、日本では「視点ショット」「主観ショット」などと訳される。

具体的には、カメラの視線と登場人物の視線を一致させるようなカメラワークのことで、よりリアリティのある映像を作り上げることができるため、フェイクドキュメンタリー(ドキュメンタリー風表現手法=モキュメンタリー)映画でこの方式がよく取られる。ファウンド・フッテージ (found footage)ともいわれるこの新手のジャンルは、撮影者が行方不明になったまま発見された未編集の映像(footage)という設定で、ホラー作品がほとんど。一躍有名になったのが、例の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999年)だ。

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POVタイプが映画界でもてはやされるのは、低予算(「ブレア・ウィッチ」は製作費6万ドルとアナウンスされている!)という点に尽きる。『パラノーマル・アクティビティ』(2007年)シリーズもすでに5作が公開されているし、本欄で紹介した『クローバーフィールド』(2008年)、『クロニクル』(2012年)、スペイン発の『REC』(2007年)、そして今回の特選とした『V/H/S』シリーズ等々、これからもこのジャンルの作品は(金銭的リスクが低いため)製作され続けそうだ。

ただしこのタイプには、部屋の中にビデオ・カメラを設置したり、登場人物の誰かにビデオ・カメラで撮らせ続けたりしなければならず、その設定部分に(無理があり)限界がある。「ほら、ビデオ・カメラ買ったぞ! いいだろ!」「俺にも撮らせてくれよ!」(『パラノーマル・アクティビティ/呪いの印』)てな調子で、Vカメラのたらい回し?となり、どんな危機的な状況になっても(危険なギャングや恐ろしいゴースト&モンスターを目前にしても)撮影者は(視聴者のために!)カメラを手放せないワケだ。まあ、そんな不自然さに目をつぶれば、POVはホラーにはピッタリのスタイルではあるのだが……。

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