不穏だったジャニーズ会見「6つの違和感」の正体 合計4時間超…透けて見えた「甘さ」と今後への不安

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また、Xの動きを見ていてたびたび気になったのは、会見中ネット上に「怖い」という声が目立っていたこと。その理由は「手短に過去の謝罪を済ませて、今後の話に切り替えたから」と「東山社長の芸能人生を犠牲にすることで乗り切ろうとしたから」の2点ではないでしょうか。特に後者は東山社長の「夢をあきらめた僕」という言葉にジャニーズ事務所の怖さを感じた人がいたとしても不思議ではないのです。

藤島ジュリー前社長の涙は逆効果か?

3つ目の甘さは、藤島前社長の一歩引いた姿勢と涙。藤島前社長は、できるだけ短い話にとどめ、同じような文言を繰り返し、東山社長と弁護士を見て話をうながすなど、一歩引いたようなスタンスが見られました。

序盤から中盤にかけて、うつむき加減で目が泳ぎ続けるなど、緊張状態が見て取れましたし、「これまで表に立ってこなかったから慣れていない」というところもあるのでしょう。

それでも、「提言を真摯に受け止め、5日で引責辞任しました」「被害者への補償や救済にとどめ、業務執行には関わりません」「私が親族であっても物を申せなかったのが、弊社のいびつなところだったと思います」「もちろん反省しておりますが、当時は何もできなかったです」「院政を敷くつもりはまったくございません」などと言い切る迷いのなさは伝わってきました。

もはや野心を感じさせないそれらの発言に「藤島前社長は、性加害もメディアへの圧力も知っていたけど、それらにはふれずマネジメントだけに集中していた人なんだな」と感じた人もいたのではないでしょうか。もちろん経営のトップとしてそれだけではダメであり、甘さを感じさせるところですが、自分への批判をいくらか抑えられる受け答えだったことは確かでしょう。

また、藤島前社長は100%の株を持つ株主ですが、今回の会見では資産の譲渡などについては言及されませんでした。しかし、一部で懸念されている「今後も株を保有し続けて事務所の経営に影響力を及ぼす」ことは、世間の人々が許さずに実現しづらいでしょう。また、一族であるジュリーさん自身がこうして発言したことで、ジャニーズに現在所属するタレントたちも声をあげやすくなったはずです。

(写真:東洋経済オンライン編集部)

だからこそもったいなかったのは、ファンに向けて語った「ご理解いただきたいのは、みんながそういうこと(性被害)があって今スターになっているわけではなく、一人ひとりのタレントが本当に努力してそれぞれの地位を勝ち取っているので、そこだけは失望していただきたくないですし、誤解もしていただきたくないです。安心して、これからも応援してやっていただきたいです」などと涙ぐんだこと。

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