不穏だったジャニーズ会見「6つの違和感」の正体 合計4時間超…透けて見えた「甘さ」と今後への不安

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しかし、これらのコメントを受けた「当事者の会」石丸志門副代表は、「(東山社長と)同世代に活動していた者として大きな違和感があります」、平本淳也代表も「東山さんとジュリーさんも同い年ですし、『ちょっと納得いかないな。ちょっと気持ち悪いな』という気持ちがみなさんあるかと思います」などと語りました。

強い力を持っていたジャニー喜多川氏に何もできなかったのは仕方がないとしても、甘さがにじみ出ていたのは、登壇者たちが「噂」というフレーズをそろえたこと。藤島前社長も含め噂レベルにとどめたのは、「今後のことを考えたら、“個人ではなく組織的犯罪を続けてきた会社”という認定はできない」からではないでしょうか。危機管理の観点で重要なポイントであり、そんな疑念を抱かせないためには「噂」の一言で終わらせず、多少長くなっても複数のフレーズを使って語ることが必要でした。

もし本当に「噂」でしか聞いたことがなかったのなら、よほど2人が「ジャニー喜多川氏側の人間とみなされていた」か、「後輩たちから人望がなかった」とみなされても仕方がないでしょう。しかし、そのどちらだとしても、これからの社長業に不安が残ります。

「タレント2人」を登壇させた”戦略的”理由

2つ目の甘さは、会見の人選とコメントの割合

会見中、X(旧ツイッター)のトレンドワードトップ10に井ノ原さんの名前が複数上がり続けていました。「なぜ彼が同席しているのか」などと疑問を呈する声があがっていたのです。

(写真:東洋経済オンライン編集部)

井ノ原さんは自身がタレントであるとともに、ジャニーズJr.の育成などを手がけるジャニーズアイランドの社長。過去の性加害に関わったであろう人々ではなく、今後Jr.に関わっていく井ノ原さんを同席させたことで、「過去ではなく今後」を印象付けたいという狙いが透けて見えます。

そもそも3人の構成とコメントの割合にダメージコントロールの考えがにじみ出ていました。東山社長と井ノ原さんという知名度の高い2人のタレントが矢面に立つことで、同族経営のイメージを薄れさせようとしたように見えますし、加えて藤島前社長は「すでに過去の人」という立ち位置。コメントの大半を東山社長に任せつつ、できるだけ今後について語ってもらい、自分は事務所の経営に関わらないという姿勢を貫いていました。

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