「ちきゅう」の営みは地球の縮図だ! 海洋研究開発機構の地球深部探査船に乗ってみた①

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ちきゅうと筆者。頭の後ろの高いところで光っているのがやぐら

雨に煙るJR清水駅をみなと口へ降り、タクシーに乗って「ちきゅうへお願いします」と短く告げると、ドライバーは物憂げに「ああ、はい。ちきゅうね」と答えた。そのとたん、ボクの頭の中にはあのテーマ曲が流れた。あれは地球を後にイスカンダルへ向かうので方向が逆だが、それは気にしない。

さらばー・・・・JASRACの問題がありそうなので、これ以上は書かない。

巨大な「ちきゅう」

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これが掘るためのヤグラ

ちきゅう。それは、独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が持つ、地球深部探査船である。海底を深く掘って得た資料を分析し、新たな知見を得るための船だ。全長210メートル、幅38メートル、海面からの高さは121メートルにも及ぶ。大きさをわかりやすく示すと、西新宿にそびえる新宿野村ビルディングを横に寝かせて、その上に低層マンション、最先端の研究所、巨大なやぐらをのせた感じになる。

海底1万メートルまで掘れる掘削機械とヘリポートを乗せてある。船体の左右に各3艘ある救命ボートは75人乗りが2艘、50人乗りが1艘。救命ボートではあっても大きい。どちらも、福島沖に風力発電設備を見に行ったときの船より定員が多い。

ちきゅうのプラモデルを2回作ったことのあるボクは、その程度の予備知識は持っていた。しかし、清水湾興津埠頭に停泊する現物を見て思ったことは「どうしちゃったんだろう」ということであった。何度か大型客船に乗ったことがあるが、それと比べてもちきゅうは桁違いだ。雨が降っている中、港からやぐらのてっぺんを見上げてみる。首が痛い。なぜJAMSTECはこんなにデカいものを作ろうと思ったのか。

その目的は3つある。ひとつは、地球環境変動のメカニズムを解き明かし、将来の環境変動を予測するというもの。もうひとつは、巨大地震はどうやって起こるのかを解明すること。そして最後のひとつは、海底下の地殻の内部での地質と生命の関係を明らかにすることだ。2007年から、国際深海科学掘削計画(IODP)のメインの船として本格稼働している。

これまでに得られた成果のひとつに、東日本大震災の原因究明がある。JAMSTEC地球深部探査センター(CDEX)企画調整室の倉本真一さんが説明してくれる。

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