ソチ五輪も土木工事も、「人と水の戦い」だ!

地下水あふれる地中にコンクリートのビルを落とす!

水との戦いという意味では冬季五輪も土木工事も同じだ

ソチ五輪をテレビで観戦していると、モーグルのコブをどのように作るのか、ハーフパイプの反り経つ雪のカベをどうやって固めているのか、リュージュの氷のコースをどのように整えているのか、など競技場の整備を巡る疑問がフツフツとわき上がってくる。夜のうちに水を撒いて自然に凍らせる、人工の雪を吹き付ける、など競技ことに並々ならぬ苦労があるに違いない。

カーリングは氷をこすって溶かすことによりストーンと氷の摩擦係数をコントロールする。スキーは体重の置き方により雪とスキー板との摩擦係数をコントロールする。冬季五輪とは、摩擦を巡る「水(氷や雪を含む)との戦い」であることをあらためて感じさせてくれる。

そこから無理矢理、今回の現場の話へと展開する。「水との戦い」は、日本の土木事業者にとっても、必須のノウハウである。少し掘れば地下水が吹き出てくるため、水を制御できなければ土木工事どころではないのである。

建設が進む小松川第二ポンプ場

なるたん(「成毛眞の技術探険」)の第7話の現場は江戸川区小松川一丁目の荒川と中川が交わるあたり。江東デルタ地帯の最南東だ。海抜ゼロメートル地帯などに降った雨を吸揚し、荒川に放流する目的で、小松川第二ポンプ所の建設が進められている。東京の雨問題については、隅田川幹線工事でも触れたとおりだ。

工事は今、躯体の築造段階に入っている。最終的には、長さ85メートル、幅は70メートルになる建物をまずは4区画に分けて造り、最終的にひとつの建物とする。現在造っているのは4分割したうちの最後の区画だ。高さは86メートルで、そのうちの45メートル、つまり15階建てのビル相当の部分は、造りながら地下へ埋めていく。地上1階だった部分が、徐々に地下1階になり地下2階になりと、沈んでいくのである。プロはこれを「落とす」と表現する。

建物を落としながら作る。これ可能にするのが、ニューマチックケーソン工法である。これはマチックケーソンの新版ではなく、ニューマチックは「空気の」という意味の形容詞で、ケーソンは「ハコ」を意味する。

洗面器をひっくりかえして浴槽に沈めるというチャレンジはだれしも経験していることと思う。あのとき手に感じる抵抗は、洗面器の内側に潜む空気によるものだ。あそこには空気があり、お湯の流入を防いでいる。風呂ではいつしか洗面器はひっくり返ってしまうが、洗面器の底に小さな穴を開けてそこに外から空気を送り込めば、沈めながらも状態は安定的に保たれる。

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