宇宙の果てを探求する「精密窯業」の凄み

オハラが"伸び縮みしない巨大ガラス"でリベンジ

6トンもの重さのあるゼロ膨張ガラス

ハワイのマウナケア山頂にある国立天文台のすばる望遠鏡は、遠い天体をいくつも捕らえてきた。その遠さは、太陽系から外れた冥王星どころの話ではな い。129億光年も離れた銀河の撮影に成功している。宇宙の始まりは137億光年先を見ればわかると言われているから「なんだ、もう少しじゃないか」と勘 違いしそうな距離までを、すばる望遠鏡は見通せるのだ。

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国立天文台TMT推進室の青木和光さん

そのすばる望遠鏡のすぐ近くに、新しい望遠鏡の建設が予定されている。その名はTMT。TMTとは「サーティ・メーター・テレスコープ」、すなわち30メートル鏡で、宇宙空間から降り注ぐ光を受け止める主鏡の口径が、30メートルという意味だ。

すばる望遠鏡の主鏡の口径は8.2メートルだから、直径にして4倍、面積にして13倍以上大きくなる計算だ。国立天文台TMT推進室の青木和光さんによると、TMTはすばる望遠鏡よりも6億光年先、135億光年くらいまで捕らえることが期待されている。

日本が誇る光学ガラスメーカーが相模原に

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六角形のガラスを492枚組み合わせることで直径30メートルの主鏡を作る

しかし、30メートルもの一枚鏡は、作るのも運ぶのも大変だ。というわけで、TMTの主鏡は、重さ250キロほどの対角1.44メートルの六角形状の鏡492枚を組み合わせて構成する。その鏡の元となるガラスを作っている会社が、相模原にある。

相模原。神奈川県で3番目の政令指定都市とは知っているが、これまでの人生であまり縁がなかった。駅に降りても完全にアウェイである。そのアウェイの地にあるのが、オハラという会社。ピンと来た人はカメラ好きだろう。カメラ用レンズのためのガラスも作っている、日本が誇る光学ガラスメーカーだ。半導体製造装置の中のレンズはもちろん、ハードディスクのなかで毎分何千回転もしているガラス円盤もオハラ製だ。

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インテル中興の祖、アンディ・グローブ。数々の英断で、プロセッサー半導体市場で無双の企業を作り上げた。グローブの愛弟子である、インテル全盛期のトップが語る技術経営の神髄。