日テレが"O2O2O"を加速するワケ 「放送と通信の融合」は、次のステージへ

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ネットの力を使って、リアル店舗などへ消費者を促すO2O(オンライン・ツー・オフライン)。筆者がO2Oの連載を始めた2012年1月から2年が経ち、もはや業態を超えた共通のビジネス領域になった。
今、O2Oの進化版として注目されているのが、テレビ放送とO2Oの連携で、O2O2O(オンエアー・ツー・オンライン・ツー・オフライン)、もしくはT2O2O(テレビ・ツー・オンライン・ツー・オフライン)と呼ぶ。そのO2O2Oで先頭を走るのが日本テレビ放送網(日本テレビ)だ。
2013年11月、日本テレビは、バスキュール社、ビーマップ社、日本マイクロソフトの3社と共同で、新しい広告・販促モデル「O2O2O」プロジェクトの立ち上げを発表した。
2014年2月、バルセロナで開催されたモバイル業界の国際展示会「Mobile World Congress」では、O2O2Oプラットフォームを公開し、話題を呼んだ。日本のテレビ業界はもちろん、世界でも類をみないO2O2Oプロジェクトの全貌を、日本テレビ・編成局メディアデザインセンターの安藤聖泰氏に聞いた。

テレビでプロ野球を観戦すると、クーポンが当たる

――O2O2Oとはどのようなものでしょうか。

さまざまなO2O(オンライン・ツー・オフライン)の取り組みが広がってきましたが、その前に、オンエア(テレビ放送)を入口とすることで、視聴者の企画への参加感や前のめり度、来店などの効果をより高める。ここがひとつのポイントです。

従来、テレビ広告は、消費者行動プロセス「AIDMA(Attention:注意、Interest:興味、Desire:欲求、Memory:記憶、Action:購入)」の、AttentionやInterestまでは貢献してきました。ただし、視聴者を店舗に送るAction部分では、どこまで直接的な貢献ができたかわかりません。そこで、テレビから店舗まで消費者を促すO2O2Oモデルを、企画やデータ分析を含めて作っています。

――具体的にはどのようなサービスを想定しているのでしょうか。

たとえば、テレビのプロ野球中継を観戦しながら、簡単に参加できる企画が考えられます。視聴者は、ピッチャーが打ちとるかバッターが打つかを打席ごとに予想し、スマートフォンで投票します。これだと、ライブで観戦する緊張感も高まります。

正解者にはポイントが貯まり、ポイント数に応じて番組スポンサー企業の商品割引クーポンがスマートフォンに配信されます。その後、利用者が、クーポンを使えるコンビニなどの近くに来ると、クーポン使用を促すメッセージがプッシュ配信で、スマートフォンに届きます。

テレビの企画に参加してクーポンをもらっても、その場ですぐさま自宅を飛び出て、店に向かう人はいないでしょう。でも、この仕組みならクーポンの存在を忘れてしまったとしても、スマートフォンを持って出かけたとき、店の近くで知らせてくれるので便利です。クーポンは、店舗に応じて使える形式で発行します。

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