「キュッキュー、キュッキュー」
2013年春、全国40万人以上の女子がスマートフォンに向かって叫んだ。
ファーストリテイリンググループのブランド「ジーユー」のアプリを立ち上げ、画面のUFOアイコンを押しながら「キュッキュー(990)」と叫ぶ。すると、若い女性に大人気のタレント“きゃりーぱみゅぱみゅ”扮する“おしゃれインベーダー”の壁紙がもれなくもらえる仕掛けだ。
ジーユーのブランドメッセージは、「ファッションをもっと自由に」。ユニクロの“やんちゃな妹分”として、20代女性をメインターゲットに生まれた(株式会社ジーユーはファーストリテイリングの100%子会社)。
ジーユーは今春から、「国内向けファミリーカジュアル」ブランドからの脱却を図り、価格については新価格戦略「990円」を掲げている。冒頭のキャンペーンは、ジーユーが打ち出した新戦略の訴求を目的としたもの。より深くブランドとかかわってもらうことで、新戦略の認知度が深くなる。結果、40万人以上の消費者が自らスマートフォンに向かって「990(キュッキュー)」と叫んだのだ。
驚異のスマホアプリ利用率
「ポケットにGU(ジーユー)を」。これが、ジーユーが推進するメディア戦略のコンセプトだ。ジーユーは、スマートフォンを中心に据えたO2O(オンライン・ツー・オフライン)戦略を積極的に仕掛けている。O2Oでは小売企業の代表格と言える存在だ。
紙のチラシを激減させ、スマートフォンアプリ、ソーシャルメディアなどのデジタルメディアを徹底活用することで、“20代女子”の心をつかむ。
2012年3月にリリースした会員向けアプリのダウンロード数は、一部報道によると、200万件を超え、アプリを月1回以上起動する人、メールのプッシュ通知を希望する人がともに約80%、という。この水準は驚きだ。
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