カンボジア人に学ぶ、「恩返し」の作法 同じ仏教徒でも、これだけ違う!

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相手の地位によって、あいさつも変わる

――日本にも輪廻転生という考えがありますが、それがより深く生活に根付いていますね。

ヴィリャさん:年上を敬うこということでは、あいさつの仕方も異なります。

海外に行ったことがない方は握手はせずに、「ソムペア」という手を合わせるあいさつをします。あいさつをする相手の地位によって手の高さが違うのです。胸の前は同僚、友達、もしくは部下。手を口の辺りにまで上げてあいさつをするのは上司、年上の人。鼻までだと親や先生、おじいさん、おばあさん、額または頭の上まで上げると、仏教のお坊さんや王様です。高さが4段階あります。

――日本のお辞儀の角度と同じですね。ビジネスでいちばん初めにお会いしたときはどうすればいいですか?

ヴィリャさん:口ぐらいまで手を合わせるのが安全です。頭も少しだけ下げます。年上の方に握手を求められるときもありますが、ソムペアをしてから握手をします。それも目上の方であれば両手で握手します。大きな投資の案件などで大臣にあったりするときはこのやり方の方がいいです。

――お互いに呼ぶときの呼び方はどのようにしますか?

ヴィリャさん:苗字では呼びません。ファーストネームで呼びます。日本と同じで苗字が先で後がファーストネームです。苗字はおじいさん、おばあさんの名前なので、自分の名前ではないからお互いにはファーストネームで呼ぶのです。苗字で呼ぶと逆に嫌みになるときもあります。Mr.Msなどで呼びます。公務員などは「Excellency=閣下」など特別なタイトルがあるので、それは確認したほうがいいです。Excellencyなのに、Mr.で呼んでは失礼です。

――服装にも面白い習慣があるようですね。

ヴィリャさん:はい、幸福を呼び込むために、曜日によって服の色を変えるのです。「七つの幸福の色」と言われています。たとえば稲作の式典の写真を見ると、みな紫の服を着ていて、そこから何曜日に行われたかがわかるのです。日曜日は赤、月曜日はオレンジ、火曜日は紫、水曜日は緑のような黄色、木曜日は緑、金曜日は青、土曜日は濃い紫です。結婚式などもこの色に従ったりします。もし結婚式に呼ばれたときや公式な式典などには取り入れるといいですね。

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