どうせなら参院選前に、全閣僚で靖国参拝せよ 一言ポリティクスにモノ申す

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グローバル化の進展により、国の枠を超えて活躍する「グローバルエリート」が生まれている。しかし、そのリアルな姿はなかなか伝わってこない。グローバルエリートたちは何を考え、何に悩み、どんな日々を送っているのか? 日本生まれの韓国人であり、国際金融マンとして、シンガポール、香港、欧州を舞台に活動する著者が、経済、ビジネス、キャリア、そして、身近な生活ネタを縦横無尽につづる。
安倍首相の歴史認識に対し、大使館前で市民団体が抗議のデモを繰り広げた
(写真:Yonhap/アフロ)

「わっ、また中途半端に麻生さんとかが靖国参拝して、韓国・中国が猛反発してる、と報道されてる。何十回、何百回、何千回くりかえされるんや~~!! こんなんやったら、参院選の前に堂々と全員で閣僚参拝して、首相による靖国参拝を堂々と争点化して、国民に信を問わんかい!!!」

さて、グローバルエリートの私が「靖国参拝せよ」とか言うと驚かれる方も多いだろう。タイトルだけ見れば、私は日本の2チャンネルに引き続き、韓国のDaum.netの掲示板(韓国最大のポータルサイト)でも血祭りに上げられ、玄界灘を股にかけて掲示板でお祭り騒ぎになるかもしれない。ついでに中国語にも瞬く間に翻訳され、百度(バイドゥ:中国最大のポータルサイト)を含め、私への炎上は北東アジア全域に広がるだろう。

しかしながら歴代の、特に昨今の安倍内閣の歴史問題に対する姿勢を見ていると、歴史問題に関し、いわゆる“あいまい戦略”を取るほうが、日本にとっても近隣諸国にとっても一貫性に乏しく、政策コストが高すぎる気がする。今回は最近続いたディズニーランドネタや恋愛ネタのソフト路線から大きく舵を切り、“靖国問題”についてフランスの彼方からはるばる参戦し、炎上コラムニストの本領を発揮させていただきたいと思う。

まず、最初に申し上げておくが、私は国のために戦地に散った人々を一国の首相や国民が敬意を表すのは当然だと思っている。また“英霊”に子孫が感謝の気持ちを捧げるのは当然だ。ただし中国も韓国もそこに怒っているわけではなく、問題はいわゆる“A級戦犯”を首相が参拝するかという点と、繰り返し過去の謝罪を否定しようとする政府の歴史認識にある。 “A級戦犯”の参拝を合理化するにはその言葉の定義を見直す必要があるため、首相は、「あれは侵略だったのかどうか」という極めて今更なレベルで争おうとして、村山談話や河野談話、東京裁判も否定しようとしているわけだ。

ちなみに私は「東京裁判が戦勝国による断罪」という論点と、欧米列強による侵略という背景には理解を示している。ただ問題は戦勝国に断罪されなくても、また、これを侵略と定義しなくても、数百万人の自国民の犠牲者を出し、また数百万人のアジアの人々の命を奪い、女性を蹂躙し諸々の虐殺行為を行った過去の失策から、歴史的教訓を日本国民自らの決断で伝えなければならないということに変わりはない。

“外圧に屈しない”と論点をそらさず、大本営発表や憲兵を通じた言論弾圧の下、数百万の国民に犠牲を強いた過去の実態を明らかにして失策の原因を赤裸々に伝えることが、歴史認識の原点になるべきだ。

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