祖父母の時代に騙され、孫の世代でもう一度騙される
安倍内閣は靖国問題を“外国の圧力vs.日本の国益”とフレーミングすることで世論を誘導し、あたかもそれが国内のコンセンサスであるかのように意図的に振る舞っている。しかし実際は、多くの日本人にとっては、自分が支持しているわけでもない“侵略戦争の責任者への参拝“を政治家に勝手に実行されている。国民の思いとしては一度謝罪してきっぱり未来志向で行きたいのに、毎年のように右派政治家が過去の謝罪を覆す言動を繰り返し、結果的に近隣諸国から「戦争を反省していない」といつまでも非難される事態につながるのだから、たまったものではない。
仮に20回謝っても、21回それを否定したら、(過去の謝罪が無意味になり)また謝罪する羽目になるのが目に見えているが、そこからくるフラストレーションを世論の右傾化に利用しているのではないか。過去の謝罪を覆さなければ、イスラエルが今更ドイツを批判しないように、中国も韓国も何も言う筋合いはないのである。
実際には多くの日本国民の祖父母が、安倍氏や麻生氏の祖父が導いた戦争に駆り出され甚大な被害を被ったのに、孫の世代で再び安倍氏の祖父の行為の正当化に(当時の国民の孫世代が)駆り出され、一言ポリティクスで諸外国との対立に駆り出されるのは、あまりに皮肉である。
現状の歴史認識問題に関しては、戦争を指導した一部の議員のご先祖の名誉回復のために、国民が巻き込まれてしまっている感がぬぐえない。
参院選前に靖国・歴史認識問題で国民に信を問え
今後に関してだが、自民党は今までのように靖国参拝が争点化するのを避けて、当選した後に参拝を強行して国民の意思に反して問題を複雑化させるのではなく、参院選の前に選挙の争点として明確に掲げて、国民の信を問うべきである。まだ戦争の生き証人が残っている間に、日本の国民には首相の靖国参拝と歴史認識をめぐる選択権が与えられてしかるべきだ。
若手議員時代から一生懸命に村山談話や河野談話を否定する活動を続けてこられた安倍氏だが、前回の在任時はアメリカに怒られると、被害者に対してではなくアメリカに“謝罪”してきた。しかし本当に向き合うべき相手は政府にだまされ戦争に駆り出されて命を落とした自国民であり、その軍靴に踏みにじられたアジアの人々であるはずだ。
それでも安倍氏が歴史を修正し、“A級戦犯”を参拝したいなら堂々と閣僚全員で参拝し、堂々とご自身がお持ちの安倍史観を国内と国際社会に打ち出して、正々堂々と信を問うべきだ。
ご自身が最も推進したい政策の中身(歴史認識等)を選挙で国民に問わず、違うアジェンダで議席を獲得して一気呵成にどさくさ政策を通すのは、国民を著しくバカにした行為であろう。
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