この1年ほど、全国のスキー場に19歳の若者が詰め掛ける現象が起きている。その数は実に、日本に住む19歳の10人に1人。
バブル期、空前のスキーブームが到来し、全国の日本人がスキー場に押し寄せた。ところがバブル崩壊後、1993年をピークにスキー人口は急減。全国の2割のスキー場が廃業し、現在も多くのゲレンデで閑古鳥が鳴く。そのスキー場に、なぜ今、若者が戻ったのか。
その動きを生み出したのが、リクルートの「雪マジ!19」というキャンペーンだ。19歳であれば、全国100以上のスキー場で何十回リフトに乗っても無料、というものだ。
企画立案したのは、リクルートライフスタイルの研究員・加藤史子。
現在は研究員という肩書きの加藤だが、入社以来、長く歩んで来たのはネットビジネスの世界、それもほとんどが“立ち上げ”だった。詳しくは後述するが、その加藤だからこそ思い浮かんだのが、雪山の世界に“フリーミアム”を導入しようというアイデアだ。
フリーミアムとは、最初に基本的なサービスなどを無料で提供し、追加機能や継続をする際に課金をしていく仕組み。「最初は無料」という呼び水で集客に成功した例は、モバゲーやGREEなどのソーシャルゲーム、学生無料の携帯電話プランなど多数ある。
ただ、雪山の世界に、フリーミアムという考え方はなかった。業界からの反発もすさまじいものがあった。
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