新生ヤフーが命運託す、生粋"モバイル野郎" ソフトバンク孫社長も待望した男の素顔

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やがて主流となるスマホ時代の覇者になる――。2012年4月、壮大な目標の元に発足した宮坂学社長率いる新生ヤフーに、あの男が戻ってきた。村上臣(36歳)。そのわずか1年前にヤフーを退社した人物が今、ヤフーのスマホ戦略の命運を握っている。

2012年2月、六本木ミッドタウン近くの喫茶店。現ヤフー社長の宮坂学(45歳)は、「大事な話がある」と村上を電話で呼び出していた。その約1年前にヤフーを退職していた村上は、モバイル関連のベンチャー企業立ち上げに奔走していた。

「俺が社長になることになった。だから、お前に戻ってきてほしい」。宮坂の言葉に村上は一瞬、耳を疑った。「まじですか?」

後に発表されるヤフー経営陣刷新の情報は、このとき極秘中の極秘である。しかし、村上は起業したばかりのベンチャー企業ピドの取締役。社長の田中祐介にだけは相談をさせてほしいと宮坂に伝えた。村上から相談を受けた田中は、意外にもあっさりしていた。

「インターネット業界をよく知る村上君と僕なら、今の会社でそこそこの実績を出すことは可能だと思う。でも、起業するならいつでもできる。このビッグウエーブに乗るべきだ」

村上のヤフー再登板が決まった瞬間だった。

ソフトウエア界の“主従関係”を壊せ

執行役員兼CMO。弱冠36歳で、売上高3400億円の大企業の執行役員ということ以上に驚くのが、CMOという、業界でもあまり聞き慣れない肩書きだ。一般的にCMOとは、チーフ・マーケティング・オフィサーの略称だが、村上の場合は、チーフ・モバイル・オフィサー。モバイルに特化した戦略担当である。

ヤフーは言わずもがな、日本で絶対的存在感を誇るポータルサイトである。月間の総ページビューは500億を超え、ほかのポータルサイトを約5倍も引き離す。しかし、これはパソコン(PC)経由が大半で、現在急速に普及しているスマートフォン(スマホ)経由の数値は、全ページビューのうち2割程度。そこに今、ヤフーの危機感がある。

迫り来るスマホ時代に備え、「スマホ・ファースト」を打ち出す新生ヤフーで、司令塔役を担うのが村上というわけだ。

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