鉄道の「自動運転」は車よりずっと進んでいる 新興国などで期待集める「新交通システム」
自動車の世界では現在、自動運転がトレンドになっている。自動車メーカーのみならず、グーグルに代表されるIT企業も参入し、どこが公道で最初に自動運転を実現するかが話題となっている。
鉄道にくわしい人にとっては「何をいまさら」という話題かもしれない。鉄道ではかなり前から、自動運転列車が実用化されているからだ。
代表格が新交通システムと呼ばれることが多いAGT(オートメーテッド・ガイドウェイ・トランジット)である。東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」、神戸新交通「ポートライナー」など大都市圏を中心に走行しており、欧米でも目にすることができる。
都市内での実用化一番乗りは日本
AGT構想が生まれたのは米国で、自動車の増加による交通渋滞や環境悪化に対処するため、1960年代からウェスティングハウス・エレクトリック、ボーイングなどが研究を始めた。
ウェスティングハウスのAPM(オートメーテッド・ピープル・ムーバー)は1971年、フロリダ州タンパ空港内交通システムとして開業した。このシステムはその後、ドイツのアドトランツを経てカナダのボンバルディアに売却され、イノビアというネーミングで世界各地の空港に展開している。
ボーイングのシステムはPRT(パーソナル・ラピッド・トランジット)と名付けられ、1975年にウェストバージニア州モーガンタウンにある大学へのアクセスルートとして運行を開始した。その後は2011年から、ロンドンのヒースロー空港内交通システムに導入されている。ただしPRTは1車両の定員が10人以下と少なく、見た目も自動車に近い。
このうちボンバルディアのイノビアは、1980年代中盤になるとマイアミのメトロムーバーなど、都市交通としても導入されるようになる。しかしAGTを都市交通として世界で初めて実用化したのは日本だ。神戸のポートライナーが1981年に開業している。
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