「百貨店」の常識が変わるとき

培ってきた資産は、常識を作ると同時に足枷になるのかもしれない

百貨店の衰退が叫ばれて久しい。1904年の三越「デパートメントストア宣言」はもとより、伝統を江戸時代にまで遡るこの業態も、不況下、長らくの停滞傾向が続いている。

もちろん百貨店も、手をこまねいていたわけではない。実にさまざまな手を打ってきた。最近でも、東京駅や大阪駅近辺の再開発に合わせて新しい形の百貨店が次々と生まれ、激しい競争が始まっている。

どうやら、大きく二つの方向性に注目が集まっているようだ。一言でいえば、「原点回帰」「脱百貨店」である。

〝らしさ〟を取り戻すか批判を可能性と捉えるか?

著者:水越康介(経営学者、首都大学東京准教授) 撮影:今井康一

百貨店らしさを取り戻しながら新しい方向を目指そうとしている代表は、三越伊勢丹だ。三越伊勢丹は、百貨店としての原点回帰を目指し、自らの品ぞろえを強化しようとしている。

銀座三越は2010年に増床し、高級路線を今一度、徹底させた。さらに、今後はSPAと呼ばれる、製造までを手掛ける小売り業態に踏み込むともされる。

実は、百貨店が衰退した理由の一つとして、大事な仕入れ活動をテナントに任せっきりにしてしまい、自らが品定めをしなくなったことが指摘されてきた。

品ぞろえが命でありながら、実質はテナントに場所貸しをしているにすぎないというわけだ。三越伊勢丹は、この問題を正面から受け止め、積極的に仕入れ機能を取り戻し、さらにその先を目指しているといえる。

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