「パナマ文書」流出させた弁護士事務所の正体 共同創設者の一人は小説家としても成功

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しかし一部の専門家は、国際的な透明性基準への準拠を拒否しているという点で、パナマには立派な仲間がいるという。米国だ。

外国当局にとって、自国民が米国に保有する口座の情報を取得するのは容易ではない。「本当に問題なのはパナマじゃない」と、税制・経済政策研究所(ITEP)(本部・ワシントン)のマット・ガードナー専務理事は言う。「パナマ文書は、世界的な(タックスヘイブンの)状況を垣間見るチャンスをもたらしたが、米国の仕組みを垣間見るチャンスになったと理解するべきだ」。

「悪い評判」のある相手はお断り

パナマ文書の流出以来、モサック・フォンセカ事務所も、フォンセカ自身も、彼らが設立を手伝ったペーパーカンパニーが何をしようと、彼らに責任はないと主張してきた。

フォンセカは、事務所は顧客を慎重に審査しており、「悪い評判」が判明した相手は断っているという。また、顧客は弁護士や会計士や仲介人で、独裁者などではないと主張する。「我々は自動車工場のようなものだ。作った車をディーラー(例えば弁護士)に売るだけで、ディーラーがそれを誰に売り、最終的な買い手が何に使おうと、工場に責任はない」。

それにモサック・フォンセカは、「できる限り」、ペーパーカンパニーの真の所有者を見極める努力をしてきたと、フォンセカは言う。「この業界も規制が厳しくなり、悪者に利用されないよう真剣に取り組むようになった。われわれはそれを歓迎している」と彼は言った。

「ただ、15年前は、適正注意義務なんて言葉は知られていなかったことを思い出してほしい」。

(執筆:Kirk Semple記者、Azam Ahmed記者、Eric Lipton記者、翻訳:藤原朝子)

© 2016 New York Times News Service
 

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