「パナマ文書」流出させた弁護士事務所の正体

共同創設者の一人は小説家としても成功

共同設立者の一人、ラモン・フォンセカ氏は弁護士としてだけでなく、小説家としても成功を収めている (写真:Carlos Jasso/ロイター)

北米と南米を結ぶ国パナマ。そこで2人の男が手を組んだのは、この国が政治的にも、経済的にも、不透明だった時代だ。

ユルゲン・モサックは、口数の少ないドイツ系移民の弁護士。父親はかつてナチスの親衛隊のメンバーだった。ラモン・フォンセカは、社交的で野心的な弁護士。パナマの軍事独裁体制に批判的な一家に育ち、小説家としても成功を収めている。

顧客は世界の著名人ばかり

パナマがマヌエル・ノリエガ将軍の独裁体制下にあった1986年、2人はそれぞれの法律事務所を合併。以後、30年間で、モサック・フォンセカは500人以上のスタッフを抱え、世界40カ所以上に拠点を持つ一大法律事務所に成長した。顧客リストには、権力者や著名人(悪名の高い「著名人」を含む)など世界のエリートが名を連ねる。

モサック・フォンセカの得意分野は、オフショア金融サービスだ。個別の内容は秘密に満ちているが、今年1月、ブラジルの汚職事件を捜査していた検察官に、「巨大なマネーロンダリング(資金洗浄)の舞台」になっていると名指しされた。

事務所の拡大とともに、経営者であるモサックとフォンセカは莫大な富を築き、とりわけフォンセカは政界にも影響力を持つようになった。「政界から不正を一掃したい」が口癖で、フアン・カルロス・バレラ大統領の特別顧問に就任した(が、ブラジルの汚職事件との絡みで今年に入り辞任)。

モサック・フォンセカが急成長を遂げたカギは、顧客のプライバシーの徹底的な保護にあった。ところがその「鉄壁の守り」が、同事務所から流出した、大量の機密文書によって瓦解。世界の富裕層がペーパーカンパニーとタックスヘイブン(租税回避地)を駆使していたことが、明らかになった。その衝撃は、すでにアイスランド首相の辞任と、2つの大陸における正式な捜査開始につながっている。

いわゆる「パナマ文書」の暴露は、「犯罪や汚職で得た不正資産を隠すのにもってこいの場所」という長年の汚名を払拭しようと、パナマ政府が立ち上がった矢先に起きた。

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