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復旧を阻む険しさ、箱根登山鉄道の「台風被害」 橋桁が流出、今後の被災防ぐ対策も課題

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  • 森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト
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ところで、大きな被害が大平台付近と小涌谷付近に集中していることから、箱根湯本駅―大平台駅、小涌谷駅―強羅駅間の被害が比較的軽微な区間を優先的に復旧し、折り返し運転を行うことは可能ではないだろうか。この点についても疑問をぶつけてみた。

「折り返し運転は当社でも検討しているが、現実的には難しそうだ。まず、もともと途中駅での折り返しを想定していないので、信号・保安装置の改良が必要となるが、この改良だけで数カ月の時間がかかる。また、大平台駅―小涌谷駅間はバスに乗り継いでいただくことになると思うが、電車とバスでは輸送量が違うため、大平台駅でお客様をさばききれるかどうかや、乗降スペース確保の問題も出てくる」(菅原氏)

さらに、箱根登山鉄道の場合、全線を乗り通す乗客が多いため、折り返し運転を行うメリットが通常の都市鉄道ほどには享受できないということもあるようだ。

代行バスは県内各社が協力

なお、現在、箱根湯本―強羅間では代行バスが運転されており、ケーブルカー(強羅―早雲山、10月16日に運転再開)、ロープウェイ(早雲山―桃源台、同26日に全線で運転再開)を経由し、芦ノ湖の海賊船等を乗り継いで周遊する、いわゆる「ゴールデンルート」は確保されている状況だ。

箱根海賊船(小田急系)と箱根芦ノ湖遊覧船(伊豆箱根鉄道)はともに10月19日から運航再開した(10月30日、筆者撮影)

この代行バス運転に関して菅原氏は、「貸し切りバスの需要が多い時期であることから、自社だけではバスの確保が容易でなく、神奈川県バス協会のご協力により、各バス会社から毎日のようにバスを出していただき、代行バスが運行できている状況だ。本当に感謝している」と話す。

かつて箱根登山鉄道を含む小田急・東急グループと西武グループが観光輸送をめぐって争った箱根山戦争も今は昔。復旧に向けた課題は多いものの、本来、ライバル関係にある企業グループ同士が手を取り合う姿には、箱根の未来に向けた希望が感じられる。

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