「なぜ私が嫌がることを、わざわざするのか心底わからなくて。夫に問い詰めると『なんでだろう? 自分でもよくわからない』と。『それじゃあ解決できないじゃん』と呆れてしまいました。
そのうち体に限界がきて、めまいがして倒れてしまい……。そうなって初めて夫は仕事を休み、家事と育児を自らしてくれました。病院に行くと、ストレスで片耳が難聴になっていました」
限界を越えないと休めないポメさんと、そんなポメさんのやさしさに甘えてしまうべるさん。お互いに睡眠不足で余裕がないことも、夫婦の溝を深くした。それでも対話を続け、お互いに愛情を伝え合い、結果として「休みの日は夫から誘う。そういう気分ではない日は理由を添える」ことで合意した。
それでも夫は誘うことを「忘れる」日が何度もあった。そこで、ポメさんはアプローチを変えてみることを思いつく。
「ピアスの穴を開けて、『はぐらかすたびにピアスの穴を増やすよ』と伝えたんです。冗談半分で『次は舌かなぁ』と言ってみたり。何か思うことがあったのか、そこから夫ははぐらかさないようになりました。結局、セックスレスに悩んだのは1年弱でしたね」
実体験を「漫画」にして得た思わぬ反響
2022年、ポメさんは漫画の配信を始めた。きっかけは夫の勧めだった。
「幼い頃から絵を描くことが大好きでした。高校生以来、描いていなかったのですが、始めてみるとすぐに楽しさを思い出しました。実体験を綴った漫画をInstagramとNAPBIZ公式ブログで配信すると、思わぬ反響を得られたんです」
最初に反響を得たのは、セックスレスや夫婦の危機を描いた「レス夫婦」だ。さらに、毒親だった母のこと、20代で経験した結婚と離婚、息子の幼稚園でのトラブルなど赤裸々な実体験を配信すると多くの共感が寄せられた。現在はInstagramのフォロワーが6.5万人にのぼり、Amazonでも電子書籍を配信している。
「特に、毒親を持つ方や元夫のようなパートナーに悩まされている方から共感が寄せられています。同じような境遇にいる方が、こんなにも多いことに驚きました。母から否定され続けてきた自分の考えを肯定してもらうことが増え、本来の自分を取り戻せた気がしています。現在はAmazonでの配信が収入の柱で、漫画で生計を立てられていることをありがたく思います」
最後に、「これまでの人生で最も想定外だったことは?」とポメさんにたずねてみた。
「私の人生、想定外しかないかもしれません。家庭環境の影響で幼い頃から将来を悲観し、自分を責めるクセがついていました。そんな私が家族を持つことができて、憧れていた漫画家になれた。これから漫画がドラマや映画になったり、さらなる想定外もあるかもしれない。前向きに今の状況を楽しみたいなと思います」
「今よりもっと良いことが起こるかもしれない。もし良くないことが起きても、きっと大丈夫。漫画にします」と彼女は笑う。荒波を乗り越えた経験と人生の“ネタ”を昇華する術。ポメさんが手に入れたそれらは、さらなる想定外の人生をサバイブするための力強い武器になるに違いない。


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