「東京で賃貸マンションに住んでいた頃は、近所付き合いも町会への参加もほとんどありませんでした」と小峰さん。しかし湯沢町では、そうしたつながりから、町内の子供会が主催するお祭りも積極的に参加するようになりました。
「負動産」を“宝の山”と見抜いた人
誰も見向きもしなかった湯沢町の「負動産」が、人によっては「富動産」になることを、いち早く見抜いた人物がいます。移住サポートサービス等を行う会社「きら星」を営む伊藤綾さんです。
伊藤さんの出身地は、同じ新潟県でも柏崎市です。それなのに起業する際、なぜ最初に湯沢を選んだのか? そう聞くと、伊藤さんは「フジロックが好きだったから(笑)」と答えました。大学時代から通い続けたフジロック・フェスティバル。今の夫と付き合うきっかけになったのもフジロックだったといい、自らを「フジロック移住組」と名乗るほどです。
もちろん、それは「キャッチーな建前」。起業したての、何の実績もない会社が、行政から仕事を受注できるほど、世の中は甘くありません。だからこそ最初の一歩は何としても成功させる必要がありました。いろいろなエリアを彼女なりに調査した上で、見つけたのが湯沢町だったのです。
特に、条件の良い住まい、つまり「負の遺産」と呼ばれていたリゾートマンションがあることが大きかったと言います。当時、資産価値はほぼゼロとまで言われていたこの手の物件を、伊藤さんは実際に内見してみると、管理は行き届いており、東京からのアクセスも申し分ない。にもかかわらず、価格はほぼ底値と言っていいほどで、特に首都圏からの移住組にはきっと魅力になるはずだと考えたのです。
まず、2018年に自らリゾートマンションを購入し、2019年に湯沢で会社を設立、千葉県流山市から移住しました。最初の1年は自治体からの委託もないまま、手弁当で移住相談を続けました。それでも8人を湯沢町に移住に導いた実績が評価され、2020年に町から正式に窓口業務を受託します。

