鶏が長時間うずくまっていたり、体が汚れていたりする様子を見て、かわいそうだと感じるだけでは問題の本質には届かない。なぜそうした状態が生じ得るのか。生産の仕組みに目を向ける必要がある。
カンピロバクター、抗菌剤…飼育環境は私たちの食卓に跳ね返る
鶏の健康と飼育環境は、私たちの食の安全とも無関係ではない。代表的なのがカンピロバクターである。これは鶏の腸内に存在することがある細菌で、食肉の処理や調理の過程で人に感染すれば、下痢や腹痛、発熱などを引き起こす。厚生労働省も鶏肉の十分な加熱を呼びかけている。
農林水産省の23年度の調査(※1)では、調べたブロイラー684羽のうち361羽、52.8%の盲腸内容物からカンピロバクターが検出された。これは調査対象の保菌状況を示す数字であり、そのまま店頭の鶏肉の汚染率を意味するものではない。では、鶏の健康状態と保菌には関係があるのだろうか。
イギリスで03~06年に789鶏群を調べた研究(※2)では、カンピロバクターが検出された鶏群ほど、脚の皮膚炎が多く見られる傾向があった。あくまで関連を示したもので、因果関係が証明されたわけではない。それでも、生産段階で菌を減らす対策が重要であることは明らかだ。
国内でも、宮城県の調査(※3)では、カンピロバクターが検出された5鶏群について、足裏の皮膚炎が重い群ほど菌の保有率が高いという相関が認められた。菌が検出された群と検出されなかった群の間では皮膚炎の程度に統計的に有意な差はなく、調査規模も小さいが、研究者らは皮膚炎の悪化が保菌率を高めている可能性を指摘している。


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