ヴィジュアル系バンドのファン以外の人たちにはLUNA SEAの代表曲の替え歌という、わかりやすい楽しみ方がある。詳しい人ほど、そこからさらに発見がある。この「知らなくても楽しめるけれど、知っているともっと楽しい」という間口の広さと奥の深さが両立しているのも、今回のCMのポイントとして挙げたい。
制作側の“ガチ度”がファンに受け入れられた
出演者の顔ぶれを眺めながら、もう一つ考えたことがある。活動歴も、自分のバンドで鳴らしている音楽も異なる人たちをつなぐ、LUNA SEAという存在の大きさである。本来であれば、他バンドはライバルだ。自分のバンドの独自の世界観を信じて、別々のステージに立つバンドマンが、LUNA SEAという旗のもとに集まった。「LUNA SEA」の遺伝子を受け継ぐ者が、時代を超えて存在していることの証明だ。
今回のCMの出演者である、「[Alexandros]」の元ドラマー・庄村聡泰さんもその一人だ。彼はLUNA SEAの真矢さんに憧れてドラムを始めた。その彼がLUNA SEAをオマージュするCMに参加している。庄村さんは次のように語る。
「出演のお話をいただいたときは、『乗るしかない、このビッグウェーブに』と思いました(笑)。LUNA SEAが音楽人生のきっかけである自分にとって、こんなにうれしいことはありません。激励のために現場へお越しくださったJさんの過去の発言をお借りすると、まさに『感無量の心境』でした」と庄村さんは笑う。
ミュージシャンに憧れて楽器を始めた人がプロとして活動するようになり、その人自身のファンも生まれる。そして、年月を経て、原点となったバンドに関わる企画に出演する。これだけでも、胸が熱くなる。
また庄村さんは、CMの企画者の熱量については「狂気的な愛を感じました」とも評する。
「LUNA SEAというよりは『LUNACY』(※狂気=LUNA SEAの旧名)だと思いました。それに、曲や歌詞はもちろんのこと、MVの情景やコマ割り、メンバーのアクションに至るまでの全てを暗記しているであろう100人が一堂に会する機会は前例がないはずです。現場でのJさんのお言葉、並びにライブのMCで我々のことを度々、”親愛なるメンバー”と呼んでくださるLUNA SEAですが、その言葉通り、現場にいた全員がLUNA SEAであり、全員がSLAVE(※LUNA SEAのファンの呼称)でした。参加したみなさんは、純粋にこの世紀の一幕を楽しんでいたと思います。少なくとも自分はそうでした」
それにしても「LUNA CHEE」という名前も、チーズにちなんだ替え歌も、ずいぶん思い切った企画だ。多くのファンが大切に聴いてきた音楽だからこそ、その扱われ方には敏感になる。好きなものを題材にされれば、何でもうれしいというわけではない。


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