さらなる問題は、その中核にするという「NHK ONE」にある。
同サービスは、ネット配信が放送と同じ「必須業務」に格上げされたのに合わせて、25年10月に始まった。今月21日の会長会見によれば、受信契約を確認できたアカウントは今年9月末で約456万件。前身の「NHKプラス」は5年半で累計668万件の登録を集めていた。単純には比較できないが、それに比べると見劣りする水準だ。
振り返ると、「NHK ONE」は出だしからつまずいた。サービス開始当日、一部のメールアドレスで登録できない利用者が続出した。コールセンターはつながらず、SNSには不満の声があふれた(詳細は25年10月配信「SNSでは『どんだけポンコツなん?』と怒り心頭、新サービス《NHK ONE》がスタート当日に生み出した阿鼻叫喚の"意外すぎる顛末"」を参照)。
テレビを持たずネットだけで新たに契約した人は、開始から今年8月までで約1万3000件。受信契約全体の0.03%にすぎない。
「民業圧迫」への配慮がアダに
伸び悩みの根は、制度の設計にある。必須業務化を議論した総務省の会合では、民放や新聞協会が「民業圧迫」を訴え、配信の範囲は限定的に画定すべきとされた。放送番組と同じ内容を基本とし、番組に関連・補完する情報に限るという枠だ。
NHKはこれに抵抗しなかった。ネットは「放送を映す鏡」でしかなく、「放送が主、ネットが従」の形で設計されたのだ。
新計画でも、ネットの業務は「放送番組の同時配信、見逃し(聴き逃し)配信、番組関連情報の配信」のまま変わらない。それなのに「NHK ONE」を「公共メディアプラットフォーム」の中核に据えるというのだ。
そもそも、ネットが苦手なNHKがネットを中核にできるのか、という疑問もある。開始時のメール登録の混乱は、その象徴だった。NHKの内部からは、ネットに強いスタッフの多くがすでに去ったという話も聞こえてくる。


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