最後に、ゲルは昔の暮らしを伝えるだけの存在ではありません。今も使われ続けている住居です。
2013年には、モンゴルのゲルの伝統的な工芸技術と関連する慣習が、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。
そして現代では、草原だけでなく、都市にもゲルがあります。
首都ウランバートルの「ゲル地区」には、ゲルや戸建て住宅が集まっています。こうした地区では、暖房などの都市基盤が十分に整っていないことが課題になっています。
一方で厳しい冬を越すために各家庭で石炭などを燃やすことが、市内の大気汚染の大きな原因にもなっています。その改善に向け、太陽光を活用した暖房などの取り組みも進められています。
ここで考えたいのは、ゲルそのものが問題なのではなく、暮らす場所や条件が変わることで、必要な仕組みも変わるということです。草原での移動生活を支えてきた住まいが、都市では住宅やエネルギーの問題とも関わっているのです。
ゲルから、今のモンゴルの都市問題を考える
ドラマの背景に映る、白くて丸い家。その姿から、気候、草原、家畜、人々の暮らし、そして現代の都市問題まで、話がつながっていきます。
『VIVANT』の草原のシーンをもう一度見る機会があったら、ぜひゲルにも目を向けてみてください。
「あれはゲルだ」と名前がわかる。その先に、「なぜ、あの土地に、あの形の家があるのか」がわかる。そこまで考えると、画面の中の風景が、人々の暮らす場所として見えてくるはずです。


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