ラジオ放送の聴き方は2通りある。1つはスマートフォンアプリ「BALMUDA Connect」を使う方法だ。サービスが始まるまでは体験者を1000人、抽選で募る。またバルミューダの置時計「The Clock」のスピーカーを通してラジオを聞くこともできる。こちらは11月2日から無料でサービスが開始される。
「出会いと発見」をAIで実現
ハードウェアを作ってきたバルミューダが、なぜAIを使ったラジオサービスを始めるのか。バルミューダの寺尾玄社長は発表会でその目的を、これまでの家電と同じ「人生を楽しむための道具」をつくることだと説明した。開発には1年以上の時間をかけた。
開発で最も大切にしたのは「出会いと発見」だ。ラジオは予想外の情報に出会えるメディアだが、1つの局やポッドキャストが多くの人に同じ音源を届けるため、大半は自分と関係のない話になる。ならば、聴き手の関心を踏まえて番組を組むことで、関係のある話に出会える機会を増やすことができる。この発想がサービスの出発点になった。
寺尾社長自身はすでにこのラジオを毎日聴いているとのことだ。設定は「1973年生まれの男性、関心分野は音楽・歴史・テクノロジー」とし、キーワードにはザ・ローリング・ストーンズのギタリストである「キース・リチャーズ」を入れている。ところがラジオではキースの話はほとんど出てこない。代わりに届いたのは、別のバンド、オアシスの昨年のツアーを追ったドキュメンタリー映画が日本で配信された、という知らせである。
この情報は自分から積極的に探すことはないため、「BALMUDA Good Morning Radio」を聴かなければ1カ月ほど後に知っていたかもしれない、と社長は話す。このサービスは入力したキーワードをそのまま検索するのではない。そこから関心を推し量り、自分では探さない情報との出会いを運んでくれる。知っていることしか出てこない「検索」との大きな違いはこの部分だ。社長が理想とするのは、番組をきっかけに食べたいものや観たい映画が増え、週末に実際に出かけて思い出が残ることだという。
ところでこの番組はすべてをAIで自動生成されているわけではない。寺尾社長自身が放送作家として制作に加わり、手をかけている。たとえば1分ストーリーの「レストランの一皿」では、社長がまず100店舗・100皿を選択。次に約400字の紹介文を10皿分、自分で書いてAIに渡し、書き手の癖を読み取らせる。その後AIが書いた文章を確認して修正し、自分の文章とほぼ同じになるまでそれを繰り返したという。そのうえで100皿分をAIと共同で仕上げ、300皿まで広げた。他にも主要ニュースはラジオ制作チームが夜中に内容をすべて確認してから配信するなど、ニュースにも人の目が入っている。このようにAIを使いながらも、人間がかなりの手間と時間をかけているのだ。
置時計がAI端末に変身する
「BALMUDA Good Morning Radio」はバルミューダの置時計「The Clock」で聴けることも大きな特徴だ。「The Clock」は2026年3月に発表されたバルミューダ初の置時計である。針もカバーガラスもなく、75個のLEDが光で時刻を表示。アルミ削り出しのボディにウーファーとツイーターを備えたステレオスピーカーを収めるなど独創的な製品だけに、発売時は大きな話題になった。とはいえスマートフォンが時計代わりになった今、5万円を超える置時計を買う動機は見つけにくい。
しかし「BALMUDA Good Morning Radio」のサービス開始で、「The Clock」はただの時間を知る道具から、AIサービスを受けるスマートデバイスへと変身する。毎朝「The Clock」のアラームで目覚め、本体を持ってキッチンへ行き、コーヒーを淹れながらラジオを聞く。操作は本体のクラウンを押すだけとシンプルであり、スマートフォンの画面を開くことも、アプリのアイコンを探す必要もない。寺尾社長自身、毎朝この流れでラジオを聴き、ストレッチをする時は屋外にも持ち出すという。


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