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「ハードからソフトへ」バルミューダが朝のAIラジオに挑む理由…家電メーカーが見据えるモノづくりの次のステップ

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「The Clock」とスマートフォン
バルミューダが挑む、AIを使ったラジオサービスとは?(写真:筆者撮影)
  • 山根 康宏 携帯電話研究家・ジャーナリスト
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毎日違うトピックが聴ける1分ストーリー(写真:筆者撮影)

ラジオ付きの置時計は今も売られているが、そこから流れるのは誰が聴いても同じ放送である。しかし「BALMUDA Good Morning Radio」は聴き手の関心に合わせた話題を約10分にまとめて届けるという、パーソナライズドされた、ユーザーのための放送という点が大きく異なっている。自分に関係のある話を毎朝聴けば、寝ぼけた頭も自然と冴えてくる。そうして気分よく動き出せれば、その日の行動も前向きになるだろう。

寺尾社長は今後の構想として、朝の10分にとどまらず、一日中いつでもパーソナルラジオを聴ける「ラジオステーション」の実現を挙げた。まずは日本でβ版を育て、いずれは世界で展開できるサービスにしたいという。AIサービスを手がける企業は多いが、バルミューダは家電というハードを作れる強みがあるとも語った。「The Clock」も実は開発時にAIサービスの端末として設計していたという。生成AIで作られたコンテンツをユーザーが受ける手段は、スマートグラスやワイヤレスイヤホン、スマートウォッチなどへ広がっている。自宅で使う置時計は、その中で新しい選択肢になるだろう。

スマホの教訓を超えられるか

バルミューダといえば、2021年11月に発売したスマートフォン「BALMUDA Phone」を思い出す人も多いだろう。4.9インチの小型ボディーに、手になじむ曲線のデザインを採用し、スマートフォンとの付き合い方を見直すという発想も込められていた。しかし、税込み10万4800円(SIMフリー版)という価格や機能をめぐって評価は分かれ、同社は2023年5月に携帯端末事業の終了を発表した。スマートフォンのようなIT機器は、設計思想よりも先に性能や価格で比べられがちだ。デザインや手触りへのこだわりは、選ぶ決め手になりにくかった。

「The Clock」は、スマートフォンとは真逆の製品だ。「何でもできる魔法の箱」ではなく、時刻の見せ方や目覚めの音など、すでにありふれた製品である置時計の体験そのものを作り直した。そこに生成AIを加えることで、「スマートフォンがあれば十分」という日常に、あえて置時計を置く理由を生み出そうとしている。外には持ち出さず、リビングやキッチン、寝室と、家の中で使う用途に絞ることで、スマートフォンと正面から競わずにも済む。

置時計がスマートAIデバイスになる(写真:筆者撮影)

バルミューダはトースターや扇風機など、毎日の暮らしを楽しくする道具を作ってきた。そのバルミューダが、家電というハードから、サービスへ、しかもAIの分野へと踏み出した。製品を売って終わりにせず、毎朝の10分を通して、使い続ける理由を届けようとしている。ハードを作れる強みとAIを組み合わせたとき、次にどんな道具が生まれるのか。家電メーカーの新たな挑戦を、楽しみに待ちたい。

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