さらに小澤理事は、Aさんが「高い」と感じている国立大学の大学院の授業料については、以下のようにコメントした。
「イギリス以外のヨーロッパの国々には、大学院生が授業料を負担せずに研究ができる国もあります。アメリカの大学院は授業料が高いけれども、奨学金が充実しているので支援を受けながら研究ができる仕組みです。
これに対して日本の場合は、院生から授業料を取って院生を育てています。これについては、今後議論の余地があると思います。大学教員を一定期間務めると奨学金が返済不要となる制度などは廃止され、実質的には奨学金という名のローンが多い状況です。博士課程の院生への経済的支援は以前に比べると充実してきたものの、国立大学の大学院における授業料の在り方については、もっと議論されるべきだと思っています」
人件費の増加を掲げるケースが多い
2026年度に値上げした大学や、2027年度に値上げする方針を示している大学は、教育の充実というよりも、国からの運営費交付金の減少や、物価高騰、光熱費・電気代の高騰、さらには人事院勧告による人件費の増加などを主な理由に掲げるケースが多い。
人件費の増加などは、運営費交付金の2025年度補正予算や2026年度の増額によってある程度は手当てされた。その一方で、財務省の諮問機関である財政制度等審議会は10月22日、授業料の標準額を物価や人件費の上昇に応じて柔軟に見直す仕組みに変えるよう提言し、授業料引き上げを促している。
しかし、国が大学院生を増やすことを掲げている中で、国立大学が物価高騰や人件費の増加などを理由に、学部だけでなく大学院まで授業料を上げることが適切なのかといった疑問は残る。
「やはり国立大学の学費は高すぎると思います」と語るAさんは、博士課程には進学せず、修士卒業後は就職する予定だ。大学院生が高い授業料を払うことについては、国や経済界、社会をあげて再考が必要ではないだろうか。


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